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輝山 (文芸書)

輝山 (文芸書)

輝山 (文芸書)

作家
澤田瞳子
出版社
徳間書店
発売日
2021-09-30
ISBN
9784198651893
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輝山 (文芸書) / 感想・レビュー

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starbro

澤田 瞳子は、新作中心に読んでいる作家です。著者の直木賞受賞第一作、石見銀山で働く人々の物語でした。石見銀山は、豊臣政権の財源にて現世界遺産としては知っていますが、石見銀山が舞台の小説は、初読です。あまり大きな事件は起きませんが、石見銀山周辺の人々の機微が巧みに描かれています。金吾の成長譚でもありました。 GO TO TRAVELが復活したら、まだ訪れたことのない島根・鳥取を旅して、石見銀山を観てみたい。 https://www.tokuma.jp/news/n43524.html

2021/10/18

いつでも母さん

江戸後期、石見銀山。代官・岩田の身辺を探るべくかつての上役より密かに任を受けた中間・金吾。金吾目線で銀山で働く人々の様子と町の賑わいが活き活きと描かれ、ひたすら領民の安寧の為と動く代官の真意が、徐々に金吾の胸に響くのが好ましい。親しくなった命を掛けて鉱石を採掘する堀子頭・与平次がまた好い漢でその思いが胸を打つのだ。そのカッコイイ漢たちの前に何とも卑しい小出が情けなく、金吾の成長譚でもあった。澤田さん、直木賞受賞第一作。満ち足りた読書時間だった。お薦めです。

2021/10/24

パトラッシュ

鉱山から産出される銀は美しく輝いているが、採掘する労働者は鉱害で早世する運命にある。石見銀山を支配する代官の中間となった金吾は、江戸とは何もかも違う風土に戸惑いつつ明るく懸命に生きる男女の姿に接し次第に馴染んでいく。代官の失策を探る密命を受けながら民を守るため深慮遠謀を巡らせているのを知り、また人のため命や金を投げ出す貧しい庶民の生きざまに人として正しく生きることこそ銀よりも輝くと悟るのだ。友の与平次が仲間と談笑しつつ死を迎える結末は深く心にしみる。作者一流の文章力もあって見事な時代小説に仕上がっている。

2021/11/27

trazom

澤田さんの作品は、歴史上の人物や事件を、史実に照らしながら描くというスタイルが多いが、本作品は、そういう呪縛から解き放たれた伸び伸びとした小説に仕上がっている。幕府の天領である石見銀山に生きる人々を描いた歴史群像だが、間歩、鏈、山師、掘子、吹屋、ユリ女など独特の用語で知る銀山の様子は興味深い。代官所による統治、山師の経営、堀子たちの労働など銀山特有の支配構造を背景として、気絶(けだえ)という呼吸器疾患での三十年余りの短い生涯を宿命づけられた掘子たちの切なさが心に沁みる、とても感動的な作品だった。

2021/12/19

シナモン

とても良かったです。舞台は江戸後期の石見銀山。命を削りながら銀を掘り、その短い命を輝かせ懸命に生きる人たち。「輝山」というタイトルに込められた思いに胸が熱くなりました。思慮深い代官、小坊主の成長と母の思い、幼いうちから家族のために働く少年、飯屋の情景などいきいきと描かれる人情物語に何度もぐっと。感動の一冊でした。

2021/10/21

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