洛中洛外画狂伝 狩野永徳 (徳間文庫 や 42-1 徳間時代小説文庫)
洛中洛外画狂伝 狩野永徳 (徳間文庫 や 42-1 徳間時代小説文庫) / 感想・レビュー
NAO
祖父が作った粉本通りに描くのはつまらないと考え、見たままに書きたいと考えた狩野永徳の苦悩。父・祖父・得意先の商人、三人とも永徳の才能に気づいていながらも、三者三様に異なる反応が巧みに描かれている。そんな永徳の才能を一番に気づいたのが足利将軍義輝というのが、なんとも印象的だった。
2019/06/14
豆電球
描写がくどかったり表現がストレート過ぎたりで良くも悪くも若々しい。その分熱量はすごい。若き日の狩野永徳を描く筆致としてはそれが合っていたのかも。登場人物も想定の範囲内で動くので驚きなどはないけれど安心して没頭出来るという良い点も。ただ狩野派はもっとエリート集団だっただろうし権威もありプライドも高かったと思うので、松栄の劣等感ばかりがクローズアップされすぎて狩野派の凄さがあまり伝わってこなかったのが残念。粉本をただなぞるだけの集団みたいな描かれ方にはやや不満あり。個人的には永徳より等伯が好きなんですけどね。
2022/11/22
田中峰和
永徳の祖父狩野元信は優れた絵師であると同時に商売上手だった。自分の作品をなぞる紛本を息子の松栄に描かせることで、狩野派の隆盛を支えた。孫の永徳は、それに飽き足らず、オリジナル作品に拘った。紛本に執着する松栄と永徳の対立が物語の一つの柱。もう一つの柱は、スポンサーとなる足利義輝との交流。後に有名となる洛中洛外図のような作品は義輝みたいな依頼者があって可能なもの。本来の狩野家の生業は扇の絵を粉本によって大量生産することだったらしい。将軍家の衰退と新たな支配者の台頭、弱肉強食は絵師の世界でもあったのだと納得。
2020/01/17
kanki
狩野永徳の歩く道。足利義輝との交流。「自分を通す、周りから人はいなくなる、暗闇を1人、しかし1条の光が差し込む」
2020/04/12
トラジ
以前に読んだことのある作品だった。読み終わるまで気づかなかったとは情けない。拙い文章と直截な表現。だからだろう、勢いがあり熱量も感じる。序と終りを繋げる構成も巧く嵌っている。今後に期待。
2018/02/13
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