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藻屑蟹 (徳間文庫)

藻屑蟹 (徳間文庫)

藻屑蟹 (徳間文庫)

作家
赤松利市
出版社
徳間書店
発売日
2019-03-08
ISBN
9784198944476
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藻屑蟹 (徳間文庫) / 感想・レビュー

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鉄之助

冒頭2ページで、心を一気に持っていかれてしまった。原発事故のニュースをテレビで見ていた主人公が、「~むしろ愉快な気持ちにさえなっていた」。なぜ? ここからグイグイ物語の中へ引きこまれた。本文中に出てくる、『感涙 人情時代小説傑作選』も無性に読みたくなってしまった。この本の帯には、本当に「金じゃあない、金じゃあないんだよ」と書かれてあった。ひょっとしたら、著者・赤松さんは、この本に出会ったから、こんな凄い小説が書けたのかも知れない、と思ってしまった。第一回大藪春彦新人賞・受賞もうなずける、傑作だった。

2019/09/09

しんごろ

ものすごい題材を持ってきた物語だわ。お金の使い方をひとつ間違えると、人は欲望でおかしくなるだろうし、本性もでてくるね。まして大金が動くわけだから。ほどほどのお金でいいんだよ。で、俺が大金なんか持ってしまったら……。うわ、考えたら怖いわ~。雄介の人の良さにホッとするが、ラストは一難去ってまた一難。男と女なんだから、いろいろあるだろうけど、ホントに愛があるのなら、救ってあげて幸せになってほしいと思う。ホントに、ぶっ飛んだ話だ。どいつもこいつも雑食で、なんでも食いつくす肥えてる蟹に見えてきたよ。

2019/09/12

しんたろー

除染作業員を利用して金儲けに走る男たちの物語…東日本大震災に関わる闇を書き連ねて「タブーなんて気にしない!」という声が聞こえてくる気概に満ちた作品…「きっとこれが現実なんだろうなぁ」と思わされた。そして、主人公・雄介が今まで読んだ赤松さん作品の中では最も感情移入できるので、一緒に怯えたり憤ったり出来た。『鯖』や『らんちう』のようなドギツイ毒はないが、人間の愚かさ、弱さ、切なさが伝わってくる。「人生は綺麗ごとじゃ生きられないよ」とうそぶきながら、冷めた目と熱い心で人を描くのが赤松節だと思える作品だった。

2019/11/04

yoshida

原発事故の除染作業の利権、被災者の不条理を通じ、お金で狂わされた人々を描いた作品だと思う。東電が揉み消したい原発労働者の遺書。遺書と事件を知る主人公は東電の監視下で除染作業につく。ゼネコンから下請けへの丸投げで、巨額の収入を得る主人公は懊悩する。人の命、人の不幸の上に成り立つ除染と言う利権。国分町で知り合ったマキ。彼女は津波で家族を亡くし弔慰金を得る。家族の死による金で幸せになっていいか、懊悩するマキ。突然の不幸による大金を得ることは人間を狂わす。実際、様々な避難者がいたことは事実。苦い現実を見る一冊だ。

2019/09/16

いつでも母さん

海で生まれ川で育つというモクズガニ。赤松さん大藪春彦新人賞受賞作。声を大にして言えない現実がそこにはあった。震災が分けたもの、命と場所と原発事故。東北の我慢強い諸々を美談として伝え、それに涙したではなかったか。時間だけが誰の上にも平等に過ぎてゆき、悲しみはお金で換算される。そこには善良な心をも狂わせる対立を産み、膿んだ思いのはけ口は無い。原発避難民の孤独や苦しみ、除染作業マネー・・心を揺さぶる圧倒的なラスト一行。凄い新人さんが現れた。タイトルも心に残る「それがどうした。」と赤松さんは言うだろうか。

2019/04/13

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