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黙過 (徳間文庫)

黙過 (徳間文庫)

黙過 (徳間文庫)

作家
下村敦史
出版社
徳間書店
発売日
2020-09-04
ISBN
9784198945916
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黙過 (徳間文庫) / 感想・レビュー

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ナルピーチ

下村先生、これまた凄い医療ミステリーを書いてくれた。“命”という重いテーマを扱った4話の短編作はそれぞれに“生死への問い”を痛切に訴える物語。そして最終話では前4話に対しての“究極の選択”と化す事により、本作は一気にその意味の深さを増す。自身が同じ立場にたった時、その与えられた権利をどうするのか。どんな選択肢を選ぶのか。まさに倫理観を問われる一冊ではないだろうか。現状として、僕が書けるレビューとしては、ひたすらに“黙過”することしかできない。当事者とならない限り、その答えを導き出すことはできないのだろう。

2022/05/25

いこ

生命のやり取りの現場を舞台とする医療ミステリー。①脳死寸前の患者の臓器を狙う医師 ②元厚労省事務次官のパーキンソン病は詐病か?③「動物の命は人間の命より軽いのか?」という言葉で、養豚農家に過激な攻撃をする団体。④「人間として赦されないことでした」の一文を遺し自死した真面目な研究者。赦されないこととは? ⑤ この①~④がこの章で見事に全部繋がる。その見事さと「こんなことって本当に?」の思いに、背筋がゾクゾクする。各章の中で何度も起こるドンデン返し。そして最後の最後に起こる大ドンデン返しに驚いてほしい。

2022/04/08

アッシュ姉

何事も線引きは悩ましいものだが、命ともなると非常に難しい問題だ。一人の命より大勢の命を救うことの方が大事なのか、助からない命より助かる見込みのある命を優先するか、動物の命より人間の命の方が重いのか。何が許され、何が許されないのか。何が正しく、何が間違っているのか。簡単には答えの出せない命の倫理について、黙過してはいけないと深く考えさせられる。短編集かと思ったら連作短編となっており、一層堪能することができて満足。

2021/08/06

じいじ

読み終えて『黙過-知っていながら、黙って見過ごす』というタイトルの妙を実感した。医療ミステリーは難解だけど、息も吐かせぬ緊張感があって面白いので、2日間で一気に読了した。四つの独立した出来事が、最後の【究極の選択】の章で解き明かされる構成がお見事。臓器移植の裏側が赤裸裸に語られていて、医療の世界に疎い私には好奇心から面白い半面、すごい怖さを感じた。何とか読み終えたものの正直に言うと、この小説は心身ともにベストの状態で読みたかった。コロナ禍と骨折のリハビリ中の状況下では重く辛すぎる内容であった。

2021/02/15

のり

短編集だと思いきや4つの話は序章に過ぎなかった。医療の現場は日々進歩しているが、倫理的には踏み込んでいけない境界線がある。病を治そうと研究し技術を磨く姿勢には感謝しかないが。異種移植という技術が一般的になる日も近いのか?食として命を頂く毎日。種としての差別と実験での犠牲。さらに臓器移植の難しさ。難題は多いが考えさせられた。

2021/02/02

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