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津波の墓標 (徳間文庫カレッジ い 1-1)

津波の墓標 (徳間文庫カレッジ い 1-1)

津波の墓標 (徳間文庫カレッジ い 1-1)

作家
石井光太
出版社
徳間書店
発売日
2015-03-06
ISBN
9784199070273
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津波の墓標 (徳間文庫カレッジ い 1-1) / 感想・レビュー

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しいたけ

こういうものも読まねばならなかったのだろう。綺麗事ではない被災地の真実。只々、異常事態だったのだ。そこには深い悲しみで心を凍らせる人もいれば、怒りでしか生きられない人もいるのだろう。昼の悲惨な情景が浮かび眠ることができない記者もいれば、上から求められるニュースと被災地の現状とのギャップに苦しむ記者もいる。Vサインで記念写真を撮るボランティアもいれば、遠方から車で乗りつけ面白がって死体探しをする大バカもいる。天災が人災を生む。本当の悪者は誰だ。

2017/03/15

Miyako Hongo

水に浮かぶ廃墟の桜が印象的な表紙。 □この人の海外ルポは、カルチャーギャップに腰が引けてるおっかなびっくり感が普通っぽくて好み。情報は物足りないけど、臨場感みたいな物がいい。 □錯乱する被災者や、泥棒するガキ共や、避難所でのイジメ、ボランティアにセクハラするオヤジ、わざわざシートはがして撮影するカメラマンなどなど、ああそりゃあるだろうって事がきちんと書かれていて地に足が着いてる感がある。避難所での『みんな苦しいんだ諦めろ』って同調圧とか、他の本では絶対出てこない。 □こういう本を読みたかったので嬉しい。

2015/03/06

さとむ

先日、映画『遺体 明日への十日間』をDVDで観た。数多くの「遺体」が出てきて衝撃を受けるとともに、原作者の石井光太さんの名が印象に残った。本書を手にとるきっかけにもなったのだけど、このルポタージュもよく取材されていて、いろんなこと考えさせられる。特に自衛隊の捜索活動の場面。ただただ頭が下がる。

2015/06/07

Ikuto Nagura

マスコミが伝える被災者の情報は、恣意的に切り取られた断片だけだった。お茶の間の野次馬に向けた耳障りの良いネタやお涙頂戴の浪花節、国際社会に向けた復興アピールや高潔な民族性のプロパガンダ。約二万の死者・行方不明者と約四十万の避難者、それぞれひとりひとりに、それぞれ多様なダメージや混乱や疲弊や後遺症を与えた震災。その内実は耳障りの良い話より、目を背けたくなる直接的な死や破壊だったり、負の感情やその衝突だったり、混乱に乗じた浅ましい人間性の発露だったりの方が溢れているのが当然だ。まだ四年、知っておくべき事実だ。

2015/03/29

lily

ただただ無慈悲な天災に牙を剥かれた人々の圧倒的な現実。ガソリンを買い溜める人々と、憤る被災者。子供の死を受け入れられない母親と、黙々と遺体を探す父親。上からの命令で膨れ上がった遺体を撮影するカメラマンと、被災地でピースサインで記念撮影する一般人。それぞれがそれぞれの震災を経験している。そうした市井の人々の声を掬い取る著者の真摯な姿勢に感銘を受けた。月並みだが、真の復興とは何かを、一人一人が考えねばならない。

2017/08/12

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