KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

鬱ごはん(1) (ヤングチャンピオン烈コミックス)

鬱ごはん(1) (ヤングチャンピオン烈コミックス)

鬱ごはん(1) (ヤングチャンピオン烈コミックス)

作家
施川ユウキ
出版社
秋田書店
発売日
2013-04-19
ISBN
9784253255578
amazonで購入する Kindle版を購入する

「鬱ごはん(1) (ヤングチャンピオン烈コミックス)」のおすすめレビュー

“鬱”な食事を通してこの時代を生きる心情をあらわす『鬱ごはん』に、共感しかない

『鬱ごはん』(施川ユウキ/秋田書店)

 フリーター青年・鬱野たけしは鬱々としている。定職も友人も恋人も趣味もなく、粛々とアルバイトをこなす日々はそれほど楽しくもないけれど、特別に不幸なわけでもない。ファミレスやチェーン店、コンビニ弁当、たまに自炊。ありふれた食事を鬱野は今日もとり続ける――それが、現在単行本4巻まで発売されているマンガ『鬱ごはん』(施川ユウキ/秋田書店)だ。

「外食は少人数で」&「静かに」が推奨されるようになった現在、『孤独のグルメ』(久住昌之:原作、谷口ジロー:作画/扶桑社)をはじめとする〈孤食メシ〉マンガに注目が集まっている。

 おいしいものを食べたときに得られる“忘却の瞬間”を求める女性の食遍歴を描く『忘却のサチコ』(阿部潤/小学館)、酒と肴を愛する女性ワカコがマイペースでひとり呑みを楽しむ『ワカコ酒』(新久千映/徳間書店)、不摂生すれすれの自らの食生活を赤裸々に綴ってバズったTwitter発『あたしゃ川尻こだまだよ』(川尻こだま/KADOKAWA)などなど。

 これら〈孤食メシ〉に共通しているのは、他人の目を気にすることなく、主…

2022/8/8

全文を読む

おすすめレビューをもっと見る

「鬱ごはん(1) (ヤングチャンピオン烈コミックス)」の関連記事

「もう自分はアイスの当たり棒を交換しにいけない年齢だ」絶望グルメ漫画『鬱ごはん』約3年ぶりの新刊、鬱々さは増すばかり!

『鬱ごはん』(施川ユウキ/秋田書店)

 ふつうのグルメ漫画では、「訪れた飲食店のこと」「そこで出てきた料理や、自分で作った料理のこと」「その料理の美味しさ」などが、つぶさに観察・分析されて、描かれている。

 しかし、1人で食事をするとき、みんなそんなに料理のことや、お店のことばかり考えているだろうか。自分の将来などについてぼーっと考えつつ、1人の寂しさもあいまって、暗い気持ちになったりしているのではないだろうか。

 そもそも食っているものの大半は、グルメ漫画のように美味しいものではなく、普通の味だったり、時にはむしろマズかったりするのではないだろうか……。

 約3年ぶりの新刊となる第2巻が発売された『鬱ごはん』(施川ユウキ/秋田書店)は、そんな鬱々とした一人メシを描いた漫画だ。第1巻も「自分で作ったカツサンドがキャベツの量が多すぎてベチャベチャに」「賞味期限切れのカンヅメの中身をトイレに流す」など傑作の話が多かったが、2巻は鬱々さも面白さも切れ味が増していた。

 たとえば主人公の鬱野たけし(22歳・就職浪人中)が、夏カゼをひいた日に、ガリガリ君らしきアイ…

2016/10/4

全文を読む

関連記事をもっと見る

鬱ごはん(1) (ヤングチャンピオン烈コミックス) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

流言

不快で共感し安堵する。コモリガエルでホットケーキを連想し、ガムにナメクジの交尾を見るウツノの価値観は共感できるものではないがそれでもどこかほっとする。ピザを食べれば礫死体を思い、寿司の海老を虫っぽいと感じるウツノは食事が嫌なのかと思えば、「好きなんだ 寿司」と独白し、スプラッタを見ながら食べるジャンクフードも好きであるらしい。食事に対する愛憎混ざった思いは、不思議な共感を呼ぶ。なぜか関西弁で突っ込みをいれる毒舌の黒猫妖精がちょっとだけこの暗澹とした世界に彩りを添えている……けど幻覚なんだよね。さみしい。

2014/02/07

キク

気にしすぎる青年の食生活漫画。絶対に作者の性格が、青年に色濃く反映されている。じゃないと、コレは描けないと思う。1〜3巻をまとめて自宅のトイレに置いていたら、小4の娘が読んで、「あんなに、いろんな事を気にしてると毎日が大変じゃないかなぁ」と本気で心配してました。、、、多分、本気で大変だと思うけど、ウチの娘を安心させる為にも、施川には頑張って欲しいです。

2020/12/09

ぐうぐう

負の『孤独のグルメ』とも呼ぶべき『鬱ごはん』。帯には「就職浪人生・鬱野が鬱々とした思いをめぐらせながら日々食べ物と向かい合う、“食”を楽しめない男の孤独なひとり飯。」とある。確かに鬱野は、コモリガエルを見て思い出しホットケーキミックスでホットケーキを作ったり、ハーゲンダッツのアイスを見て格差社会を実感したりと、その鬱っぷりはハンパない。しかしそれは、鬱野の繊細さが成せる結果だ。その繊細さは、世界をより理解する手だてともなる。何より鬱野は、そんな世界を実は楽しんでいる。それが、この漫画の好感だ。

2014/11/26

鱒子

これほどメシマズな漫画は読んだことがありません。普通のグルメ漫画は深夜に読んで、お腹が空いて後悔ーーということがよくありますが、この作品は食欲を刺激しないので安心です。施川ユウキ作品はひねくれてるけど、そこが好き。

2016/01/04

三柴ゆよし

学生時代、あるいは徹夜でゲームか何かやってるときなぞ、ふと、メシなんて食わずに済めばいいのにと思った人の数はそれなりに多いはず。一風変わったグルメ漫画が乱立する昨今、〈孤独〉や〈ズボラ〉ですら食を支える魂柱として活きてしまう、その風潮に抗うかのごとく、本書において描かれるのは食という行為が孕む煩わしさ、面倒くささ、そして気持ちわるさ、である。世にグルメ漫画は数多あれど、〈おいしくて、楽しい、食〉というそもそもの大前提を脱構築してしまったとんでもない漫画は本書を措いて他にないのでは。ひねくれものにオススメ。

2015/08/29

感想・レビューをもっと見る