自殺会議
「自殺会議」のおすすめレビュー
不倫相手とダイナマイト心中した母…家族の自殺をおおっぴらに語れない理由とは?
『自殺会議』(末井 昭/朝日出版社)
人が亡くなったとき、残された家族に死因をあれこれ聞くのは失礼なことだ。病気や事故のときでさえ遠慮があるのだから、自殺だったらなおのこと。
だが、しかしである。ここには無自覚の“お約束”が横たわっている。それは、「自殺だったらなおのこと」、つまり「どうして自殺は、世間にあけっぴろげに語れないのか」ということだ。常識的なところで答えを引っ張り出すなら、自殺はするべきでないとされているので、それを破ってまで断行した苦しみのそばには簡単に近寄ってはいけない、というところだろうか。
しかし、結論から先に言ってしまえば、自殺に触れてはいけないという遠慮は、まったく良いものではないようだ。むしろ、自殺を隠さず堂々と話せる世の中こそが、生きやすい社会なのだ!
このように気づかせてくれるのが、『自殺会議』(末井 昭/朝日出版社)だ。親や子どもが自殺をした人や、自殺の名所で防止活動に取り組む人などから、心の内を聞き出したインタビュー集となっている。念のために言っておくと、本書は、自殺を肯定しているのではなく、自殺しなくてもいい…
2019/1/29
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自殺会議 / 感想・レビュー
TATA
末井さんって昔、西原理恵子さんの漫画によく登場してたよね。お母さんが自死、そんな壮絶な人生だったとは知らなかった。自殺に様々に関わる人達との対談集。乗り越えた人達、ないしは乗り越えようとする人達の語る言葉には素直に頷けます。一番胸に響いたのはあとがきの「死にたい気持ちを持っていることは悪いことではありません」。受け取り方はそれぞれでしょうけど私はポジティブに受け取れました。時に読み返して自己肯定のきっかけを得る、そんな一冊です。
2019/05/22
ばんだねいっぺい
末井さんだからこそ、行って帰ってこれるんじゃないかと思った。やっぱり、何かしらの表現に託すこと。それは、支離滅裂な妄想かもしれないし、 荒唐無稽な絵画だったり、音楽かもしれない。それを普通の目で見れる社会がやってきたらいいなぁ。
2019/03/22
nonpono
末井さんの「自殺」を読んだので「自殺会議」を。自殺しようとした人、肉親を自殺で失った人など自殺にまつわる人々の末井さんの対話。なんだか深刻なんだけど、なんだかカラッとした明るさが底辺に聞こえるような不思議な感じ。夢中になって読んでいた。読みながら涙が流れていた。わたしの記憶の何かを刺激したのかな。八代亜紀の追悼番組をバックミュージックに。「死にたい」ってどこか「生きたい」なんだよね。本書に登場した方はTwitterで読んだことがある人が何人もいて世界に入り込みやすかった。そう無駄な日々など人生にはないんだ
2024/03/28
阿部義彦
前著「自殺」の続編として我らが末井さんが自殺とコミットしている10人の有名無名な人々に実際に会いに行き話を伺っています。末井さんと同じく身近な人を自殺で失った方、自らの電話品号を公開して「いのちの電話」で相談に乗っている方、日本一自殺率の低い町でその秘訣を探ってる方、東尋坊で自殺パトロールをされている方等など。自殺パトロールの言葉が重いです。「同情するより同伴してくれ、これが本当の叫び声ですよ!だから私はそれをします。ワシ、マスコミにバンバン出ます。ところがカットカット。テレビ局がみんなカットする。」是非
2018/12/23
テツ
母親がダイナマイト自殺という凄まじい最期を遂げた著者が説く自殺について。そう。この世界に生きている全ての人に神様に与えられたような生きる意味、生きている意味などない。もしもあると思っているのならそれは幻想だ。ただ生きる意味ってきっとその幻想なんだと思う。自分の存在から生まれる関係性そのものが生きる意味なんだと思う。だから生きる意味などないと確信しながらもぼくが知っている人には絶対に死んで欲しくないのは、あなたとの関係性はぼくにとっても生きる意味の一つであって、それが無くなるのはとても寂しいからなんだろう。
2020/02/20
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