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絵本の春

絵本の春

絵本の春

作家
泉鏡花
金井田英津子
出版社
朝日出版社
発売日
2020-06-11
ISBN
9784255011868
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ジャンル

絵本の春 / 感想・レビュー

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ジンジャー(C17H26O4)

両手を双眼鏡のような形にして眼に当てがうと、娘が幼い頃、…心底怖がった。眼が暗闇になって恐ろしいと。そのときわたしの眼は、娘を見ていたはずだけれど、娘の見ていた暗闇のわたしの眼は、ーー娘ではない何か別のものを見ていて…それを、娘はわたしの暗闇の眼に、見ていたのだとしたら…とても恐ろしいと、ふと。巳。巳巳。暗闇のわたしの眼は、土塀の連なる小路の木戸を覗き、巳巳巳。月の影に桃の枝の、かしほんの文字を見ていたかもしれなく巳巳巳巳。わたしはとっぷりと暮れた浅野川沿いの路や、主計町の坂を歩いて巳巳巳巳巳…

2020/06/28

アキ

金沢・泉鏡花記念館で、金井田英津子『絵本の春』原画展を開催中。少年と女の妖しい幻想的な世界に、川の洪水に蛇があらわれ、男が逃げる。鏡花53歳、1926年大正15年の作品。版画で描かれる金沢の街並み、土塀や女川が風情がある。鏡花の世界をおさえた色合いで版画により印象的に見せてくれる。今はすっかり見なくなった蛇。異界とこの世を結ぶ生き物だったのですね。そういえば蛇も異界もこの頃馴染みがなくなった。

2020/08/08

mii22.

逢魔の刻、異界への入り口がひらかれる。普段はひっそりと人通りすらない、もと邸町であった荒れ果てた土塀の裏少路で少年の覗き見たものは...無垢な少年の目を通して、妖しく艶かしく怖い鏡花の世界が語られ、金井田英津子の郷愁を誘う挿画がその物語りを目の前に立ち上がらせ読者を鏡花の世界へ誘う。それにしても鏡花の紡ぐ物語のなまめかしいこと。うっとり、ぞくぞくさせられる。さらに挿画が夢幻の世界へ深く誘い込む。挿画と物語のコラボでは『朱日記』『化鳥』も素晴らしかったが、こちらも本棚永久保存版。

2020/06/14

けろりん

ゆらりゆうらり花がすみ夕まぐれ。くねくね小路の春爛漫。繊い足首ひやりとなでる緋鹿の子小へび。そうら魅入られた巳入られた。とろり木の下薄闇に白い娘の面が誘う。「かしこいさびしい坊や、物語してあげませう」なつかしいふる里の、山に川に風に花に刻まれた雪融け水のこんこんと心の泉に湧きたつ美しい妖しい優しい無惨なお話。語ってあげて、世の人に。千尋の水底の竜宮、蜃気楼の城、緑の波涛の迷宮、花かがみに映る面影。

2020/08/24

モモ

金沢を思い起こさせる、荒れ果てた土塀のある古い小路。一度死んで通夜の晩に蘇ったという女の人が土塀を覗く少年に声をかける。その女の人が聞かせる怖い話。あとがきによると、両手で作る手の窓を覗くと異世界が見えるという。少年が見た世界は異世界だったのかもしれない。金井田英津子さんの絵が泉鏡花の世界にすごく合っている。ただこの本、ヘビ嫌いの人が読んだら悲鳴をあげるかも…。じんわりと怖い一冊。

2020/08/02

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