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物語としてのケア―ナラティヴ・アプローチの世界へ (シリーズ ケアをひらく)

物語としてのケア―ナラティヴ・アプローチの世界へ (シリーズ ケアをひらく)

物語としてのケア―ナラティヴ・アプローチの世界へ (シリーズ ケアをひらく)

作家
野口裕二
出版社
医学書院
発売日
2002-06-01
ISBN
9784260332095
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物語としてのケア―ナラティヴ・アプローチの世界へ (シリーズ ケアをひらく) / 感想・レビュー

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アキ

言葉が世界を形作る。語りと物語は相互的で連続的な関係を持つ。自らの生を物語として捉えると、状態は識別される。患者と治療者の説明モデルの違いがあると理解が困難になる。ナラティブ・アプローチとは新しい物語としての自己の構成を目標とする。ホワイトのユニークな結果も、グーリシャンの無知の姿勢も、アンデルセンのリフレクティング・チームもそれぞれドミナント・ストーリー、聞き手の姿勢、語り手と聞き手のメンバーシップにより方向付けられる。重要なのは、患者の説明モデルを引き出すことが始まりなのである。目から鱗のアプローチ。

2021/02/11

臨床心理士 いるかくん

ナラティヴ・セラピーについて書かれた物は多いがどれも難しく、これといった入門書は少ない。「ナラティヴ」という概念が理解しがたいのは従来のセラピーという枠組みを超えていること、もともとが社会構成主義というこれまでの社会学を見直す観点が出自であること、文化人類学やフェミニズム、果てはフーコーの権力論に話が及ばざるを得ないなどの理由があると思われるが、本書はそのあたりを実にわかりやすく解き明かしてくれている。医療(特に精神科領域)や介護の現場、あるいは心理臨床に携わる人たちに薦めたい。思考の転換を促す好著である

2014/04/11

かえるくん

「社会構成主義」つながりで。出会えたことに感謝したい本。福祉に携わる職業人としての自分にとっても有益な内容だったし、なぜワークショップなのか?という自分の生き方にかかわる問いへの回答にもなっていた。「ナラティブ・アプローチは、語りの無限の可能性に開かれている。したがって、やっと手に入れたオルタナティブ・ストーリーがいつの間にか新たなドミナント・ストーリー(支配的な物語、問題の染みこんだストーリー)になって、そのひとを抑圧し支配してしまう可能性に対しても敏感になる。そのような場合は、再度、語り直しをする以外

2017/01/16

イトウ

ナラティブ・アプローチには、問題の外在化、無知の姿勢、リフレクティング・チームなどがある。いずれも、「いま語られているナラティブ」に含まれる「権力作用」を無効にして、「いまだ語られていないナラティブ」を手に入れる手法である。オルタナティブ・ストーリーは、かならず、クライエント自身の手で書き進められなければならない。ナラティブ・アプローチはセラピーとケアを対立的にとらえる発想自体を無効にする。ケアとはひとつの関係だが、いま競争的関係のなかで処理されるようになっている。

2021/09/05

つなぐ

オープンダイアローグに影響したリフレクティングや社会構成主義について、とても分かりやすく解説されています。その他に外在化や無知の姿勢といったナラティブセラピーの手法の解説があります。病識のない患者と接する時、私は専門的立場から患者を病気について知らない人間として下に位置付けて教育的に関わろうとしていた事を反省、無知の姿勢を取らないと患者は自分を理解してもらえたという体験がないし、そこが関係性の出発点なんだと認識させてもらえました。私は無知の姿勢という手法に学ぶところが多かったです。

2018/05/28

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