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ことばの果実 (潮文庫)

ことばの果実 (潮文庫)

ことばの果実 (潮文庫)

作家
長田弘
出版社
潮出版社
発売日
2021-12-03
ISBN
9784267023149
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ことばの果実 (潮文庫) / 感想・レビュー

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シナモン

「オレンジを強く絞り過ぎると苦いジュースになる。すなわち、過ぎたるは及ばざるがごとし。オレンジの真実である」「小さな壜のなかに、明るい大きな森がある。それがわたしのメイプルシロップ」「いったい、にんにくぬきの人生などあるだろうか」「胡椒の効かせ次第なのだ。人間の悲哀も、幸福も」美しいことばとみずみずしいイラストが心にじんわり沁みていく。手もとに置いて大事に少しずつ読みたい一冊。

2023/09/07

アキ

長田弘のことばに色を添える松野美穂の挿画か瑞々しい。「ことばの果実」苺から始まり、白桃、スイカ、葡萄、レモン、ミカン、トマト、オレンジ、パイナップル、梨、五味子、林檎が良かった。「ことばの花実」では、オリーブ、グリーントマト、牡丹、茄子、ハラペーニョ、アスパラガス、もやし、納豆が良かった。テキサスで食べたチリ・コン・カンとハラペーニョ。天国に跳び上がるほど辛いこの小さな唐辛子を、メキシコ人は天国の実と呼ぶが、テキサス人はテキサスのピーナッツと呼んでポケットに忍ばせるらしい。面白いけど、ホントかな?

2022/03/03

taraimo

物語のシーンや手紙にも季節感を添える果実や花実のひとつひとつにスポットを充て、語られる想い出やエピソードが、みずみずしい絵のように浮かびます。さわやかな柑橘系で括られる実でも、それぞれに個性やニュアンスを覗かせます。印象的なのは、甘夏ひとつ全部を完食できる孤独という幸せ。せわしなく何処へ入ったか分からない食事をしていると、ふと素材を味わい噛みしめる悦び、それが自分と向き合うための時間だと思ったりします。人生で溜め込んだ荷物を選別したら、本当はシンプルにミカン箱に収まる程度なのかもしれないな…

2023/01/31

あきあかね

 長田弘さんの詩は、見慣れたものを、平易な言葉で新鮮なものに変える魔法のようである。様々な果物をめぐるエッセイからなる本書も、甘夏の「明るい孤独」の味や、「人生の悲しみみたいにでかい」スイカといったように、身近な果物たちが違った表情を見せてくる。みずみずしく温もりのあるタッチの果物のイラストにも心が和む。 風邪をひいた子供の頃、母が絞ってくれた林檎のジュースの、体のすみずみまで沁みわたってゆく味のように多くの読者が共感できるものも、北米ヴァーモント州の、森の木立を渡ってゆく風の味がする⇒

2023/09/04

まなみ

長田さんのことばがとっても素敵すぎて、大切に読んだ一冊。あまりにも表現が好きなので後半は声を出して堪能した。色、味、香り、すべてについての表現が生々しくも品があって本当に好き。トマトの表現が秀逸だった。「どこまでも洗練されていて、どこまでも野性的。どこまでも新鮮であって、どこまでも熟成されている。そして、酸味がきれいだった。」他にもきらきらしたことばがたくさん詰まっている。また果実をいただこう。

2022/02/11

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