エンジェル (ランダムハウス講談社文庫) (ランダムハウス講談社 テ 2-1)
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エンジェル (ランダムハウス講談社文庫) (ランダムハウス講談社 テ 2-1) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
いかにもイギリスらしい小説。ふとゴシック・ロマンを思わせるような風情をたたえる。また、小説世界そのものを描いた小説でもある。主人公のエンジェル(実名はアンジェリカ)は、けっして豊かとはいえない地域で総菜屋を営む母と暮らしているが、彼女はいわば夢想の中に生きている。そんな彼女の恋もまた、現実の相手はいるのだが、やはり夢想に紡がれていく。極端なくらいにデフォルメされているが、私たち小説の読者もまた多かれ少なかれ彼女と同類だと言えなくもない。作家として成功した時も、零落してからも彼女の本質は夢の中にこそあった。
2016/10/21
ロア
再々読。観察記のように淡々とストーリーが進んでゆくところや、何気ない部分の詳細な描写がとても好み。エンジェルの母親が、フォークに刺したトーストを火であぶってるシーンとか好きだなぁ(っ*´ェ`*c)病的なまでに高慢で冷酷で自己中心的なエンジェルは、逆に魅力的ですらあります。周囲の人々も、エンジェルを嫌悪しつつ結局は憎みきれないんだよね…(*´-`)イギリスの文学や音楽や映画とかって、何やら独特の湿った暗さが根底に感じられて、それが好き。
2016/03/22
ロア
何度目かの再読。この小説が醸し出す雰囲気は何度読んでも新鮮さを失いません(*´ω`*)自分の中にも確実に存在するエンジェルの持つ負の気質を突きつけられて、読んでいて苦しいけど読むことをやめられない。。。欲しいもの全てを才能と努力で手に入れ、どこまでも自己中心的なエンジェルは余りにも圧倒的で、狂気と紙一重の情熱と衝動には気高ささえ感じられるのです。
2023/10/14
timeturner
これ以上ないくらい嫌な女の話なのに、するすると面白く読めてしまった。人間の心については冷静に淡々と描いているのに、その人間をとり囲む情景の描写は驚くほど濃密でイメージをかきたてる。
2015/09/14
ロア
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