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選んだ孤独はよい孤独

選んだ孤独はよい孤独

選んだ孤独はよい孤独

作家
山内マリコ
出版社
河出書房新社
発売日
2018-05-26
ISBN
9784309026855
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「選んだ孤独はよい孤独」のおすすめレビュー

男の見栄と弱音が凝縮。情けなくも愛すべき男たちの孤独物語

『選んだ孤独はよい孤独』(山内マリコ/河出書房新社)

 女には女の孤独があるように、男には男の孤独がある。『選んだ孤独はよい孤独』(山内マリコ/河出書房新社)は全19の短編集で、男性が人生の中で感じるさまざまな孤独が詰め込まれている。

「男ってなんで、こんなにも情けなくて愛おしいんだろう」――そう感じさせてくれる本書は、男女の価値観のズレや男性が普段見せない心の弱さが楽しめて、おもしろい。

■彼女ができたばかりの男子高校生が抱える“孤独”

 収録作品のひとつである「女の子怖い」には、男子高校生ならではの弱さと繊細さが描かれている。

“同じクラスでいつもつるんでる伊藤と大西も、高校時代に彼女の一人もいなかったなんて汚点を残すのはマズイと言い出して、それもそうだなぁと思い込んでしまったわけだ。”

“輪からはみ出さないためにまわりの空気に釣られて、渋々ながら重たい腰をあげるのだ。そこに自分の意志なんてごたいそうなものはないのだ。”

 主人公・加瀬の心にある、こうした見栄と倦怠感の混ざった気持ちは思春期に誰もが一度は感じた感情であるだろう。そして、加瀬は言葉通り、周…

2018/6/19

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選んだ孤独はよい孤独 / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

ケンイチミズバ

どの話にもリアルに実在する誰かがいるなと思った。失業中、母親のパート代でボウリング。結婚し子供もいる同級生とレーンが隣合う気まずさ。ずっと地元にいるから誘われ、どこかに必ず顔見知りがいる。ムロツヨシさんを彷彿させる、あの時逃がしてくれた先輩がいたから今の俳優としての成功がありますの編がなかなかいい。くたびれたサラリーマン、後輩のため口も気にしない、会社での自分は演技さと教える。タバコの吸い方がカッコいい。むしろ先輩の方が役者になれたかも。こんな会社にいたらもったいないよと思う人って結構現実でも出会うな。

2018/11/08

モルク

女流作家が描く男の生きにくさの短編とショートショート。軽快な文章で読みやすく短時間で読破できる。いけてない男性たちが主人公で、確かにあるあると思い当たる。逃げろ!おれが逃がしてやるという話と人型写真ロボットの話がよかった。でも、一番のお気に入りは、ショートショートの「いつか言うためにとってある言葉」である。夫が妻に対しいつかは言ってやると思っているがそれを言っては…思わずクスッと笑ってしまった。

2019/08/03

nico

なんて情けない男達。なんて不器用な男達。これが現代の男達のリアルな姿なのか。同棲していた彼女が荷物をまとめて出ていこうとする理由が全く分からない彼。仕事ができる風を装っているだけで実は役立つの彼。何をやっても儘ならない男達に、こんな男いるなと初めは苦笑いしていた私だったけれど、そんな男達の悲哀に満ちた現実、プレッシャー、ストレスに同情してしまう。確かに女の方が一枚上手で、強かで逃げ足も速い上に巧い。「おれが逃がしてやる」と後輩の優柔不断男に言い放った館林さんは、この短編集の中で唯一カッコいい男だった。

2018/10/06

タカユキ

「男の孤独」をテーマにした短編と掌編、全19話が収録されている。全体的に軽いタッチで描かれた危機的に迫るものではなく日常に密接に絡んだ孤独を描いている。各短編に男の触れられたくないところ、同棲一年足らずで出ていく彼女の別れの理由が分からない男、実は仕事が出来ないところ、逃げるように地元の友達とダラダラとつるんだりと、自分にも思い当たるところがあってドキっとしてしまう。でも短い人生、「孤独」を選んで良いか悪いかなんて自己満足の為の自己評価。幸福になる為に選んだのだから「孤独」になっても後悔はないと感じました

2018/09/04

ででんでん

短編、断片集。なかでは「おれが逃がしてやる」「あるカップルの別れの理由」「ぼくは仕事ができない」「ファーザー」…がよかった。また「心が動いた瞬間、シャッターを切る」の一家とニコンが素敵。そして最後の「眠る前の、ひそかな習慣」で、死の床にある彼が『これまで少しでも関わったことのある人は全員、友達に思えた。同じ時代に生まれ、この広い地球の中で、偶然にも近くにいた人たちを、知り合いなんて冷たい言葉で表したくなかった。…どうせまた会えると思いながら、二度と会えなかった大勢の人たち』というところがひたひたと沁みた。

2018/07/23

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