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読書実録

読書実録

読書実録

作家
保坂和志
出版社
河出書房新社
発売日
2019-09-26
ISBN
9784309028293
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読書実録 / 感想・レビュー

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三柴ゆよし

私は実際に読んでいる本の筆写を能くする人間だが、筆写はそれをすることで当の文章のエッセンスを深く汲み取れるわけではない。書き写している時間は、むしろ、かなり無である。本書において保坂は、筆写と引用を小説の推進力として用いている。むろん、無の状態では小説を書けないが、保坂はあとがきで「書き写しをしているとかつて読んだ文が活性化する」「書き写しをする方が文が文を喚び起こす」と言っている。つまり文を書き写す行為には、単に無心になるというよりは、シャーマニズム的なトランス状態としての無に近づく効果があるのだろう。

2020/01/06

ぽち

信仰や祈りというのは体に大きな負荷をかける――筆写から発生する小説の言葉と思考の連なりをここでは「小説」とする。「読書実録」とは私見ながらまったく言いえて妙で、読みながら書く(考える)、同時に私性の消失を実感する読書体験。「もはや個体化ではなく特異化からなる此性」ドゥルーズ「あるいは死んだ直後(中略)死んで横たわる人(中略)その人も骨も完全な沈黙の中にいるが決してまったく死という一般性の中に飲み込まれない、」保坂

2020/02/23

勝浩1958

保坂氏の文を読むことで頭の体操になったような実感を伴うのですが、じゃあその内容が理解できたかというと”ノン”と言わざるを得ないでしょう。でもそれで良いんです。 ことばとことばのあいだで彷徨う浮遊感が私にとっては居心地が良いのです。

2019/10/31

qoop

先行作品からの影響を筆写という形でストレートに取り込み、登場人物に割り振る対話というスタイルを自身と自身の内なる他者にまで削ぎ落とす。このラディカルさは強く目を引くものの、実験作と呼ぶべきではないだろう。進捗状況に応じてドラマを展開するかのような小説から距離を置いて来た著者の書くべき作品として納得できる。当然の帰結という方がしっくり来る。それにしてもタイトルが良い。読書によって動いた心のありようを活写している点、まさに実録だろうな、と。

2019/12/17

kentaro mori

保坂和志には、紋切りがない。紋切りは便利だが、紋切りを使った瞬間に思考は止まる。⚫️九四年に私はそう書いた、いま私は「言語化されなければ人間にはそこに何があるかわからない」と言わない、「言語化されなくてもそこに何かがあるのはわかる、そこに何かがあることがわかっているのにそれを言語化しようとするから何もないことになってしまう。言葉は人間の活動の全体でなくごく一部なのだ。」いま私はこう言う、言葉・言語化にこだわっていたあいだ私は「こうしか生きられない」の世界観だった、言語化・言葉の力への関心がどんどん薄れて

2019/09/28

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