KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

江戸釣百物語 ; 将軍から庶民まで

江戸釣百物語 ; 将軍から庶民まで

江戸釣百物語 ; 将軍から庶民まで

作家
長辻象平
出版社
河出書房新社
発売日
2021-11-25
ISBN
9784309030104
amazonで購入する

「江戸釣百物語 ; 将軍から庶民まで」のおすすめレビュー

魚を釣ったら庶民は島流し、武士は切腹!? 知られざる日本の釣りの歴史

『江戸釣百物語』(長辻象平/河出書房新社)

 日本の対象魚の多様さ、それらに合わせた釣法技術の確立、釣具の進化などから、世界的にみて日本人の釣りは屈指の洗練度を誇るとも言われている。

 四方を海に囲まれた日本で当然のように思われる庶民の娯楽「釣り」は、しかし実のところ歴史としてはそれほど古くなく、世の中に「釣り」が広まったのは江戸時代になってからだという。

 長辻象平氏の『江戸釣百物語』(河出書房新社)は、日本の「釣り文化」が開花した江戸時代の釣りにまつわる怪談や逸話、釣りに魅せられた武士や殿様たちのエピソードを交え、日本の「釣り文化」の源を知ることができる一冊だ。

 漁師以外の庶民に「釣り」が親しまれるのに江戸時代まで時を要したのは、それまで殺生を戒める仏の教えに背くといった仏教思想が根強かったからにほかならない。室町時代には公家が釣りをしているのを咎めた僧がいたというほど、仏教の威厳が強かったのだ。

 しかし天下泰平と言われる江戸時代になると、仏教思想からも解放され、特に江戸湾という身近に釣りができる環境が整っていた江戸で、庶民の間で「釣り」は花開い…

2022/1/17

全文を読む

おすすめレビューをもっと見る

江戸釣百物語 ; 将軍から庶民まで / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

サケ太

非常に興味深い。江戸時代の釣りエピソードや釣り事情が説明されている。個人的には、『鮫釣り』のエピソードが面白かった。雇われた釣り人たちに、長老の助言。なかなかに映画的な話で楽しい。工夫のこらされた日本の釣具。釣りが江戸時代に広まった理由。読みごたえのある話が多くて満足。

2022/05/24

ようはん

以前に読んだ同じ著者による「江戸の釣り」と内容が被る所があるけど、刀の鞘の紋様に釣りの場面が描かれた物があったり多種多様な釣具が開発されたりと老若男女・将軍から庶民まで江戸時代の人々は釣り好きだったんだなというのが分かる。

2022/04/07

wasabi

父が若い頃は釣りを趣味とし、休日は、いや休暇を取っては磯釣りに出かけていた。職業としての漁ではなく、趣味としての釣りの歴史は日が浅く、江戸期以降の文化だという。今と違って竿、糸、錘、針などの釣り道具は貴重だから、誰でもおいそれとは揃えられぬ。安泰の世の江戸中期は、まず暇を持て余す武士が熱中したようだ。上級武家では女性にも盛んだったとか。幕末の動乱期においてさえ大公望は竿を離し難し。慶喜なんぞ新政府に権力を譲渡するや駿府で釣り三昧とはいかがなものか。それにしても、江戸の職人が作る釣り道具の精緻さはさすがだ。

2022/06/26

スプリント

怪談の章が面白かった。 歌川国芳の浮世絵の謎も気になる。

2022/01/21

つくし

装画にもあるとおり、絵画にも多くの釣り文化の姿が残されている江戸時代。最初の章こそ怪談として言い伝えに残るひと場面としての釣りだけれど、しっかりと釣果の記録をつけている武士や、なにが釣れたとか餌がなんだとか、釣具まで事細かに文献が残っていることが面白いと思いました。とってもポピュラーなレジャーだったことが伺い知れる。

2022/01/23

感想・レビューをもっと見る