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狼少女たちの聖ルーシー寮

狼少女たちの聖ルーシー寮

狼少女たちの聖ルーシー寮

作家
カレン・ラッセル
松田青子
出版社
河出書房新社
発売日
2014-07-17
ISBN
9784309206547
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狼少女たちの聖ルーシー寮 / 感想・レビュー

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mocha

ホラーというよりは幻想文学。愛情に飢えた子ども達は、孤独と不安の中で悪夢を見る。いろんなものを失くして大人になっていく姿を、表題作『狼少女たちの〜』はわかりやすく描いていると思う。人間へと矯正される施設で、狼らしさが徐々に失われる様子は痛々しい。ミノタウロスにイエティ、SF風のもの、おかしみを感じるものなど、おもちゃ箱をひっくり返したような賑やかさだが、後味は苦い。

2017/08/18

Koichiro Minematsu

松田青子氏の和訳ということで読み始めたが、カレン・ラッセルの世界観に、オジサンの頭は対応できないでいる。ぼんやりと感じるのは、人の未完成、未発達のなかにある定まらない揺れを表現しているのか? 10編の物語を咀嚼するにはまだ時間が必要のよう。ダークでもない明るい奇抜さ。オジサンは頭が柔らかくないようだ。

2020/12/21

まつこ

子供部屋でおもちゃ箱をひっくり返して、さらにその上からクレヨンでいたずら書きしたような短編集。それでいて話ごとに独自のルールがみえる。タイトルも秀逸で毎日どんな話か楽しみで読み進めました。ただ気を許すと読むのが難しいので、最初に訳者あとがきのあらすじを読んでもいいかもしれません。好きなのは『夢見障害者のためのZ・Z睡眠矯正キャンプ』『星座観察者の夏休みの犯罪記録』『オリビア探し』『イエティ婦人と人工雪の宮殿』『貝殻の街』。子供たちの危うさが苦い味して旨みを感じた。

2016/03/23

かわうそ

幻想が日常の延長であったりそうでなかったりする世界で少年少女が痛みや諦めを知る物語が唐突に宙に放り出されるかのような形で結末を迎える様子は現実のとらえどころのなさを現しているようだなあとか思ったり思わなかったり。

2014/09/17

キキハル

奇妙な味わいの短編集。子どもを中心に据えたお話が多い。彼らが生きる世界は狭く、制限付きの行動や理不尽な扱いが常だが、夢想だけは自由に羽ばたいていける。中でも、いなくなった妹を探し続ける兄のお話、貝殻の中に入ってしまうお話、ミノタウロス父さんが引く牛車に乗って旅をするお話が印象的だった。子どもなりに周囲との距離を測り、順応したり反抗したり。上手くやったつもりなのに傷ついてしまうのが嫌だ。ラストの結び方がどれも良かったが、すべて読了したあとに残ったのは寂しさだった。ままならなさにはまり込むと危ない一冊。

2014/10/27

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