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理由のない場所

理由のない場所

理由のない場所

作家
Yiyun Li
イーユン・リー
篠森 ゆりこ
出版社
河出書房新社
発売日
2020-05-19
ISBN
9784309207964
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理由のない場所 / 感想・レビュー

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アキ

つらい物語。16歳で自死した息子とこの世の母親との16章からなる対話。息子は作家である母親と口論しつつ、とりとめもなく綴られる想い。中国生まれの米国で生活する母親は辞書で言葉の語源までさかのぼり正確に使用しようとする。「わたしたちはかつてニコライに血と肉を持つ命を与えたが、私はそれをもう一度やっている。今度は言葉によって」米国生まれの彼は言葉の語源を易々と飛び越え母親に指摘する。母語でない言語に母親は戸惑っているよう。まるで目の前の息子に諭されるように。著者は個人的な事情を明かしていないが、事実らしい。

2020/06/14

ヘラジカ

仮想の空間で行われる自殺した息子との対話。これほど感想を書くのが難しい小説もなかなかない。そもそもこれは小説なのだろうかという疑問も湧く。愛する者を失ったリー自身が書かずにはいられなかった、生み出さずにはいられなかった作品という点では、アジェンデの『パウラ』やデラニヤガラの『波』を思い起こす。どこからどこまでがフィクションかは明かされていないらしいのだが、どちらにせよ内容が観念的すぎて入り込みにくい。この作品も「読まれる」というのは副次的なものなのかもしれない。ある意味で自伝以上にプライベートな文学作品。

2020/05/19

pohcho

自殺した16歳の息子と作家の母。生と死の境界を越えて対話をする二人。母にとっては第二の言語であり、息子にとっては母語である英語。単語の意味、形容詞、メタファー。言葉にこだわる二人の会話は興味深く、英語で読めたらよかったのにと思う。イーユン・リーが息子を自死で亡くして数週間後に書き始めた小説。リー自身、うつ病で二度の自殺未遂をしている。言葉にできない深い悲しみは、言葉にすることで少しは昇華できたのか。それともあとがきにあるように、作品を出すことで何かを覆い隠したかったのか。いずれにせよとてもつらい。

2020/09/07

aika

リー自身の経験から生れたこの物語が、同じ悲しみと苦しみを持つすべての人に寄り添ってくれることを願うばかりです。16歳で自死した息子と残された母親の生死の境を超えた会話。ふたりだけが存在するこの場所で、反抗期で口が達者な息子と、やり込められる母の、淡々とした空をつかむ言葉のやりとりに、互いの行き場のなかった思いが手繰りよせられていく。本当に伝えたくて、聞きたかったことが、言葉が不完全なために届かない。いかに言葉は、頼りなくて脆いのか。それでいて、生きることを命の底から支え、繋ぎ止めてくれるのか。

2020/05/21

星落秋風五丈原

いつものイーユンリーとは違うなぁと思っていたらその間に彼女に起こったことを知って納得。いやそれを書くかと思ったが逆にそれを書いてしまうのが物書きの業というか。

2020/07/01

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