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理由のない場所

理由のない場所

理由のない場所

作家
Yiyun Li
イーユン・リー
篠森 ゆりこ
出版社
河出書房新社
発売日
2020-05-19
ISBN
9784309207964
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「理由のない場所」のおすすめレビュー

ダ・ヴィンチニュース編集部 ひとり1冊! 今月の推し本【8月編】

 ダ・ヴィンチニュース編集部メンバーが、“イマ”読んでほしい本を月にひとり1冊おすすめする新企画「今月の推し本」。  良本をみなさんと分かち合いたい! という、熱量の高いブックレビューをお届けします。

夏の成分多め! 現実逃避させてくれる隠れた名作『微熱少年』(松本隆/立東舎) 『微熱少年』(松本隆/立東舎)  残虐な感情に触れたあと異様に美しい感情を求めたくなる。真逆のようで隣り合わせの2つの間を行き来する中で、松本隆の『微熱少年』を手にとった。

 ちなみに「マウントレーニア」のCMで窪田正孝の歌声で再生される「風をあつめて」は、松本がドラムを務めたバンド「はっぴいえんど」の代表曲で作詞も手掛けている。

「16ばんめの夏だった。」からはじまる『微熱少年』は、1960年代、高校生の音楽少年「ぼく」らの青春を描く。ビートルズ来日公演の一連の流れ(三島由紀夫も登場する)からはその時代の高揚した空気がよく伝わってくるし、恋愛も冒険もする“微熱”をはらんだ「ぼく」の感覚は魅力的で、少なからず松本の面影がよぎる。

 それにしても男女はなんでこうすれ違いながらも向か…

2020/8/28

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理由のない場所 / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

ちゃちゃ

物語というよりも、どこまでも平行線をたどる、現実にはあり得ない母と息子の対話。なぜなら、息子は16歳で自らの命を絶ったからだ。知的に早熟で聡明なニコライ。作家で大学でも教鞭を執る「私」。時制を超越した「言葉の世界」でなされる対話は、時に辛辣で手厳しく、時に神経質なほど言葉にこだわり、時に母親の悲嘆と絶望が滲み出る。生を与えることの痛み、与えられた生を生きる苦しさ。混沌とした言葉の連なりは、永遠に続く答えの出ない場所で、深い喪失の悲しみと対峙しながら生き抜こうと格闘する「私」の姿そのものなのかもしれない。

2020/11/25

KAZOO

この作者は私の好みでいくつかの作品を読んでいるのですが、これは背景としては結構悲しい物語なのですんね。作者自身の経験からこの本でむかしの悲しみを少しでも和らげあるいは忘れないために書かれたのでしょうか?16差で自死した息子との対話がこのようなものであっていつも自分の近くにいてここにあってほしいような気持が現れています。ほとんど対話ということであっという間に読みました。英語版も持っているので再読しようかと思っています。

2021/04/29

どんぐり

16歳の長男を自殺で亡くしたイーユン・リーの、いま・ここにいない息子に語りかける16篇。「私が欲しいのは、いつでもニコライがいる昨日と今日と明日」—―その叶わない想いを書くことで息子を再生させ、語り合う物語。特別にストーリーがあるわけではない。「ママは書かないではいられない」と息子は言い、「それは私が悲しみたくないから、それとも悲しみ方がわからないから」と自己問答しながら個人的救いを求めるものになっている。→

2021/03/04

アキ

つらい物語。16歳で自死した息子とこの世の母親との16章からなる対話。息子は作家である母親と口論しつつ、とりとめもなく綴られる想い。中国生まれの米国で生活する母親は辞書で言葉の語源までさかのぼり正確に使用しようとする。「わたしたちはかつてニコライに血と肉を持つ命を与えたが、私はそれをもう一度やっている。今度は言葉によって」米国生まれの彼は言葉の語源を易々と飛び越え母親に指摘する。母語でない言語に母親は戸惑っているよう。まるで目の前の息子に諭されるように。著者は個人的な事情を明かしていないが、事実らしい。

2020/06/14

ヘラジカ

仮想の空間で行われる自殺した息子との対話。これほど感想を書くのが難しい小説もなかなかない。そもそもこれは小説なのだろうかという疑問も湧く。愛する者を失ったリー自身が書かずにはいられなかった、生み出さずにはいられなかった作品という点では、アジェンデの『パウラ』やデラニヤガラの『波』を思い起こす。どこからどこまでがフィクションかは明かされていないらしいのだが、どちらにせよ内容が観念的すぎて入り込みにくい。この作品も「読まれる」というのは副次的なものなのかもしれない。ある意味で自伝以上にプライベートな文学作品。

2020/05/19

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