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屋根裏に誰かいるんですよ: 都市伝説の精神病理

屋根裏に誰かいるんですよ: 都市伝説の精神病理

屋根裏に誰かいるんですよ: 都市伝説の精神病理

作家
春日武彦
出版社
河出書房新社
発売日
1999-06-01
ISBN
9784309242200
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屋根裏に誰かいるんですよ: 都市伝説の精神病理 / 感想・レビュー

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HANA

屋根裏に誰かが潜んでいるという妄想を、精神科医が分析した一冊。屋根裏からの侵入者の妄想から始まり、様々な偶然に意味付けする分裂症を経て座敷牢、家が熟成する狂気まで、様々な症例と共に考察され読んでいて興味を引かれない箇所は無かった。また文学的狂気という言葉が散見されるが、その言葉から偶然に意味付けする所や家の内部で増幅される狂気まで、妄想には個々物語が含まれているという事を教えられた。我が家の窓からも多数の家が見渡せるが、その一軒一軒がどのようなものを孕んでいるかを想像するととても怖くなる。

2015/11/09

kei-zu

「屋根裏に誰かがいる」という不安は、普遍的なものであるそうだ。 その題から誰もが思い起こすであろう乱歩の「屋根裏の散歩者」から始まり、臨床例の紹介を経て、「なぜ床下ではないのか」にも興味はおよぶ。 旧ソ連に作られたというアメリカの街そっくりなスパイ養成施設に関する「伝説」など、日常に裏に潜む不安に虚実から明かりを照らす。 読み進めることは、読者の頭の中をも覗こうとする試みとなる。おもしろいですよ。

2021/08/27

Kouro-hou

慣れ親しんだ家なのに、天井の板の裏には"幻の同居人"がいるんですよ。屋根裏のいかがわしさとは何なのか? 乱歩の『屋根裏の散歩者』から始まる家に濃縮する妄想を都市伝説や実際に診察した内容で語る本。さすが春日先生、SFやミステリの書評も混じってあまり精神科の本っぽくはありません。やっぱり人間の頭と心には 「物語の胚珠」があり、古今東西関係無く、異様な物語に心惹かれたり、何かの機会に芽吹いちゃったり、閉じた部屋の中で気づかずに育てていたりするんだな、と。座敷牢実物写真は見ている方がおかしくなるというのに納得。

2016/09/18

澤水月

困らされる者との“狎れ合い”見抜く筆致冴える。まさにこの30年で高齢化一気に進み読まれやすくなった早すぎた書か。「彼らは心を病んだゆえに、『隠された意味』に飢えてしまう」「患者(病者)は、素人探偵と化すことによって自らを妄想の世界へ置くようになる…そもそも『見えざる起因者』が白日の元に曝されるわけがない」 などSNSをキーとする陰謀論や露の侵攻など起きた今読むと戦慄(露が対米用に偽の米都市を丸ごと作る小説紹介)。座敷牢実態紹介も。増補は実際の本邦事件も。06単行本初読、22twバズ文庫復刊を12/5再読。

2022/12/12

くらげ@

(☆☆☆☆)「屋根裏に誰かいるんです」「ちょっとした隙に部屋に入ってきてタンスを少し動かすんです」など侵入を訴える人たち。江戸川乱歩の「屋根裏の散歩者」などの作品を用いながら解説されています。なぜ妄想を訴える一部の人に「屋根裏」を用いる人がいるのか。とても興味深かったです。部屋は自分の頭と書かれていましたが、部屋への侵入されることへの恐怖は、自分(自我)の中に何か入ってくる恐怖をあらわしているのかもしれない。

2016/06/12

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