ロシア革命100年の謎
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ロシア革命100年の謎 / 感想・レビュー
buchipanda3
ロシア文学者の二人による対談。歴史学の観点ではなく、ドストエフスキーやトルストイといった作家たちの文学史を切り口にロシア革命の意味を深掘りしているのが新鮮だった。ロシア人が属している民族はスラヴ(Slav)だが、ロシア語でSlovoというのは「言葉」なのだそうだ。言葉の民・スラヴ人にとって言葉自体に霊的な重みがあり、文学が政治や社会へ与える影響は大きかった。革命への情動と文学作の繋がりやロシア人の国民性、作家のこぼれ話が興味深い。ブルガーコフなど革命後の話も語られる。読んだ印象を踏まえて作品を味わいたい。
2021/05/08
へくとぱすかる
世界史の流れの中で、ロシア革命とはどんな出来事だったのか。19世紀初頭、ほぼ1世紀前からの状況を、ドストエフスキーやトルストイなど、文学史でおなじみの作家を媒介にして対談が始まる。日本人の多くは外から教科書的に知るしかないのだが、当のロシア~ソビエトの中にいた人々が感じたその時代は、普通に思うイメージとはかなり違っていたようだ。西欧とも東欧ともちがうロシアという存在を、そう言われれば、ほとんど知らないことを、いやが上にも気づかされる。世界を単純に二分する図式で考えることは、未来のためにも避けたいものだ。
2020/06/06
榊原 香織
面白かった。ロシア文学詳しい人にお勧め。 ロシア的霊性ドゥホーヴノスチ、これかな?おそロシアの基
2020/10/16
Porco
ロシア革命前夜から現在に至るまでの歴史を、主に文学・芸術方面から辿る対談。レベルが高くて、予備知識も足りなくて、ついていけないところも多かったのですが、刺激的な本でした。ロシアという国を捉えるための枠組みは、ユニークで面白い。
2018/03/12
em
革命以前〜現代の流れと並行して、当時の作家や芸術家たちの態度が語られる。文芸史寄りなので、ロシアのメンタリティ、世界観の系譜がすんなりと入ってくる。たとえば革命のパトスは、宗教的パトス(ドストエフスキーの登場人物は、神を強く求めるがゆえに神に反逆する)と通底する、というのは面白い。ほかにも世紀末デカダンの流入、スターリンによる”歴史”からの離脱、アヴァンギャルド、ポストモダンなど…既読の作家を再考しつつ、今後の参考にもなりそう。独自の感触を持つ亀山氏に対し、沼野氏が他の見方を提示してくれるのも親切。
2018/04/11
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