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無明 内田吐夢

無明 内田吐夢

無明 内田吐夢

作家
四方田犬彦
出版社
河出書房新社
発売日
2019-05-18
ISBN
9784309256306
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無明 内田吐夢 / 感想・レビュー

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koji

四方田さんは、私が大きな刺激を受けている文筆家。本書は内田吐夢論です。黒澤、小津、成瀬等に比べて地味な感じですが、「飢餓海峡」で今でも語られる息の長い巨匠の映画監督です。四方田さんが内田吐夢にどう迫るか。この一点で読みました。書き出しは、内田が終戦前満州・満映に渡り中国で辛酸を嘗め、帰国後映画活動を再開する所。その後の作品論は、四方田さんらしく子細に分析します。私が感じ入ったのは、内田のバックボーンとして毛沢東の矛盾論と大乗仏教を指摘した点と不遇な私生活の中でも「自らの生き方」を貫いた点。信念の人です。

2019/10/12

パトラッシュ

内田吐夢は関心の深い映画監督ではない。「宮本武蔵」五部作や「飢餓海峡」はそれなりに面白かったが、繰り返し観たいとは感じなかった。しかし著者は、強制労働などで辛酸をなめた8年余の中国での抑留生活が内田の映画作りをどのように変えたのかを、戦前作品と比較しつつ丹念に跡付けていく。武蔵が吉岡一門の幼い子供を斬ったり、名士の地位を守るため過去を知る女を殺す男を描く時、多くの死に立ち会った経験がにじんでいるのを明らかにする。歴史に翻弄されながら映画しかなかった内田を、映画を通して描く新しい形の評伝は深い余韻を残した。

2019/07/23

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