行ってみたいな、童話の国 (河出文庫 な 7-20 BUNGEI Collection)
行ってみたいな、童話の国 (河出文庫 な 7-20 BUNGEI Collection) / 感想・レビュー
はつばあば
童話ってこんなにも残酷なものなのかと怖気を振るう。蝶よ花よと育てられたきた人間の裏側には毒が充満。今の子がイジメを受けている状態と同じじゃないか・・。やっぱり人は残酷に出来ているんだ。熊が人を襲ったっていいじゃないか。もっとひどいことを人はしてきたのだから・・。と、まで思わせる胸糞悪い作品。それを読んだ私も胸糞の悪い奴。だけどこれだけの事が書ける長野さんて凄い!。子供の頃お姫様や王子さまに憧れていた、あの頃を大切にしたいとしみじみ思った。
2017/06/01
あつひめ
点訳二校完了。偶然にも続けて長野さんの作品を読むこととなった。先に読んだ八月六日…とは匂いの違い過ぎる作品で戸惑いながらページをめくる。性描写だけでなく、虐待的な場面が多数出てくる。長野さんらしい表現の仕方で性描写されている。凡人の私には、苦痛にしか思えないことがこの童話の世界ではまかり通り誰も救いを求めていない。胸がいっぱいなのに先が気になる。そこが長野ワールドなのかもしれない。でも、もう痛そうなのは…嫌…。
2016/07/30
藤月はな(灯れ松明の火)
長野まゆみ風残酷童話。でもグリム童話も「灰被り=シンデレラ」の靴と足のモチーフは性行為を暗示しているし、童話も元々は大人の村人の気晴らしとして話された物であるから童話本来の姿に帰っているのだろう。「ハンメルンの笛吹き男」の笛吹き男の正体は白銀の鼠の王でセスを虐めて鼠に変えられた子たちは憎悪の親によって殺されるし、「にんじん」でのにんじんは大人の嗜虐や悪戯に身を任せつつも(多分)美少年な兄が男から悪戯されるように仕向ける強かさを持つ。「鼠」や「鼠取り」、樹液という隠語がインモラルさを増す効果を発揮しています
2013/06/02
冬見
長野まゆみによる、大人のための残酷童話集。文中に一度も「痛い」という言葉が出てこない、徹底的に痛覚を排除した語り口が恐ろしい。淡々と進行する物語はグロテスクでインモラル。主人公含めまともな人間は誰一人いない。「ハンメルンの笛吹き」は童話的、「ピノッキオ」は官能的、「にんじん」は暴力的。「ハンメルンの笛吹き」のラストシーンは結構好きだな。あんなところで暮らし続ける彼も、相当狂ってる。
2017/02/01
こすも
an・anの官能小説特集で紹介されていた1冊。「ハンメルンの笛吹」、「ピノッキオ」、「にんじん」という童話を本ネタにエロスと残忍性を全面に出してリバイスしたお話。一番グロいけど、この試みが上手くいったのは「にんじん」だと感じました。原作の方も読み返したくなりました。
2017/05/26
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