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ナチュラル・ウーマン (河出文庫 ま 1-1)

ナチュラル・ウーマン (河出文庫 ま 1-1)

ナチュラル・ウーマン (河出文庫 ま 1-1)

作家
松浦理英子
出版社
河出書房新社
発売日
2010-08-03
ISBN
9784309408477
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ナチュラル・ウーマン (河出文庫 ま 1-1) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

3つの短篇からなる連作構成をとる。主人公の容子と、それぞれの短篇に登場する3人の女性とのレスビアンラブ(この言い方が正しいのかどうか自信がないのだが)の物語。巻頭の「いちばん長い午後」では、いきなり大量の経血に始まる有記子との、そして続く「微熱休暇」では由梨子との、そして最後が本命ともいうべき花世との愛の交歓を描く。花世は「暖かい池」(本文の表現)には関心を示すことなく肛門(本文)に向かう。同性同士の愛はユニセックス化することで互いに純化を希求するのだろうか。アブノーマルへの傾斜も、ある意味では自然だ。

2018/05/05

綺麗な感想を書けそうにないのだが、せっかく読んだので書いてみる。1980年代に書かれたレズビアン小説だということにまず意義の大きさがあったと思う。また、恋愛においては性別に関わらず、愛も憎しみも悦びも悲しみも伴うものだが、この作品では特に性愛を生々しくクローズアップさせ、男性の同性愛とは身体つきの特徴からして相反するためか、性器の結合ができない虚しさと貪欲な快楽への探求が繊細に、かつ暴力的に描かれているなと感じた。男女に置き換える必要などなく、愛し合い方はカップルごとに模索していけばいいのだと僕は思うよ。

2013/04/24

竹園和明

桐野夏生が「好きな作品」に挙げていた本作。単行本の方で借りる。主人公容子と花世・夕記子・由梨子との日々を綴った同性愛作品…に留まってはいない所が本作の凄い点。状況設定として同性愛という形になってはいるが、容子の求める恋愛とそれに伴う苦悩を深く抉った作品で、その苦悩を生々しく描いた物語と理解した。自分の求める恋愛や相手の一挙手一投足に悩み怯える容子だが、辛い日々を生きる事が容子のナチュラルな姿なら、彼女自身がそれを受け容れればまた違った世界が開けて来るのでは。桐野夏生が評価するのも何となくわかる気がした。

2023/05/01

さっとる◎

曇天でも晴天でもカーテンを閉めきって二人で何やらごちゃごちゃすれば清々しいくらいに酸素が薄くて重いので上手に息ができない。蛍光灯は昼も夜もなくして時間は死ぬ、他が消えたただの私とただのあなたでは性別なんてついででしかない。なのにどこまでも女になってしまうのだからあなたってひとはすごいのだ。大好きだけでできあがったくだらない体が本当に困る。会わなければよかったなんて言えない私はあなたがくれるものなら何でも嬉しいんだ。会わなければよかったなんて言わせる私は、あなたが私を好きって信じてないのに知ってて最悪だね。

2022/05/13

雪紫

某小説のドラマCDおすすめの百合本。女性漫画家洋子と3人の女性それぞれの恋物語。最初の恋と破綻を描いた表題作を読んでから最初の話を読むと違う景色が見えて来る。描かかれる性欲も冷たく何処か突き放すような感じを受ける。「微熱休暇」も良かったけど、時系列で前の話で破綻を見せられたために2人はどうなるんだろうとの不安も・・・どう言葉にすれば良いか語彙力が足りないので、まずは読むのが手っ取り早いと思う(丸投げ)。様々な百合模様が見たいなだけで読むと火傷しますよ。

2020/03/31

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