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大きなハードルと小さなハードル (河出文庫)

大きなハードルと小さなハードル (河出文庫)

大きなハードルと小さなハードル (河出文庫)

作家
佐藤泰志
出版社
河出書房新社
発売日
2011-06-04
ISBN
9784309410845
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大きなハードルと小さなハードル (河出文庫) / 感想・レビュー

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アキ

映画「夜、鳥たちが啼く」を鑑賞し、原作の短編を読んだが、佐藤泰志の小説は味わいがある。「そこのみにて光輝く」にも共通する人間の暴力への衝動と男女間の性愛。生きることへのやるせなさを酒でまぎらわす男と、浮気をする男に愛想をつかし子どもを連れて飛び出した女の別居のような同居生活。不眠症の鳥たちが夜中にけたたましい鳴き声で啼く不穏さを背景に、この世間ではどんなことが起ころうとも不思議ではない男と女の関係を描く。「そうだね。でもそう考えただけで素晴らしいじゃないか」という小説の一節は繰り返され解釈は立場毎に違う。

2022/12/21

いたろう

この中に納められた「夜、鳥たちが啼く」が映画化され、公開されるということで、手に取った。佐藤泰志の本は、繰り返し何度も読んでいるものがある一方で、死の翌年に発行されたこの短編集は未読だった。佐藤泰志の小説は、過去に5回映画化され、原作では函館が舞台でないものも、すべて函館を舞台に映画化されたが、今回の映画の舞台は函館ではないよう。ただ、この短編を2時間の映画にするのは無理があるのでは?と思ったが、配役を見ると、この本の他の短編「鬼ヶ島」の登場人物の名前も。もしかすると、その話の要素も入れて映画化している?

2022/11/29

はるを@不定期低浮上中

🌟🌟🌟☆☆。中篇&短篇2本組。映画『夜、鳥たちが啼く』の原作収録。映画鑑賞した後、読了。佐藤泰志のこういうカンジの中篇作品を読んだ事がなかったので途中まで中篇だと気づかずに読んでいた。佐藤泰志の特に女性の描写が生々しくて(特に葡萄とプラムを文子が食べる箇所)凄く好き。陽子の描写も素晴らしくとてもかわいかった。油絵の厚塗りを彷彿とさせる日本絵画を鑑賞している気分になれる。『鬼ガ島』が話としては一番良かったかな。でも、(俺の中で佐藤泰志スイッチが入らなかった為か)全体的にはあまりときめかなかった。

2023/01/15

メタボン

☆☆☆☆ 濃密で熱い文体にぐらぐらと揺すぶられる。秀雄と光恵の連作5編、「鬼ガ島」、「夜、鳥たちが啼く」、どの作品をとっても、いわゆる普通の男女関係ではないが、子供が仲介することにより、何故か不自然さを感じさせない。感情の暗い流れの表現が多いが、最後には明るい希望のようなものを感じさせる。佐藤泰志の作品が立て続けに映画化されており、再評価が高まっているのはうれしい。

2016/08/26

tom1969

「再読」:時代の同質感を味わう。こうならぬための葛藤があったはず、ただ生きているだけではなく何かに立ち向かっているのはわかる。蜘蛛、蝉に自分に重なる、爽やかなものが何一つ存在しない。読み続けると変な中毒になりそう。

2016/12/04

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