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日輪の翼 (河出文庫)

日輪の翼 (河出文庫)

日輪の翼 (河出文庫)

作家
中上健次
出版社
河出書房新社
発売日
2012-09-05
ISBN
9784309411750
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日輪の翼 (河出文庫) / 感想・レビュー

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syota

紀州サーガ三部作(『岬』『枯木灘』『地の果て…』)の後日譚をなす長編。三部作の舞台だった「路地」は用地買収で消滅し、20歳のツヨシらは、残っていた7人の老婆を改造した冷凍車に乗せて、伊勢神宮や恐山など全国を巡る。途中までは、路地以外に行き場のない老婆たちの死出の旅かとも思ったが、どっこい彼女らは逞しかった。どこへ行っても七輪で煮炊きをし、路地と同じ生活を始めてしまう老婆たちの姿を見ると、最後の衝撃的な結末もなんとなく腑に落ちてくる。これは終焉の物語であるとともに、新たな始まりの物語だった。→

2020/11/22

松本直哉

傑作の誉れ高いが、どこがいいのかよくわからない。魚の匂いの残る冷凍トレーラーで旅するなんて考えただけで車酔いしそう。オバが七人もいるとキャラ立ちしなくて誰が誰かわからない。ツヨシという若い男がなんかかっこいいように書かれているけど、女を遊郭に売った金を自分のものにするところなど、控えめに言って糞。最終目的地が皇居で、二重橋のところに正座して天子様を拝むなんてどうかしてる。彼女らの信仰心は熊野の土俗的な民間信仰に由来するのだろうけれど、それがどうして天皇と結びついてしまうのだろう。

2022/11/02

スミス市松

七人のオバが若衆の運転する冷凍トレーラーに乗って全国を遍歴する旅物語。行く先々でオカイサンを炊き、御詠歌を歌い、路地の思い出を語り合うオバたちは愉快で阿呆らしく、夏芙蓉の匂い立つ物語群の中では空前絶後の軽さを獲得している一方、それが路地の土俗的世界観の希釈、ひいては根にある「路地の喪失」を浮き彫りにもしている。ただしそれを著者の筆力が落ちたとは言い難い。路地とは元来、地/血そして家に縛られた閉鎖的な空間ではなく、敗れた者、貶められた者、異形の者らが往来跋扈し語り/語られることによって発生した空間であった。

2013/04/21

イシザル

なんか いつの間にかオバらと同じ歳に近づいて来てるからか、オバらの気持ちがわかるような気がする。キクノオバは、大津は辛い思い出しかないっと言ってたのに、その中にもイイ思い出あったんだなーっと思った。雄琴で働くタエコやララとかぶしてるんだと思った。かぶしかたがクールだなー

2021/11/16

真琴

★★★★★ 「路地」と呼んでいる被差別部落を立退でおわれ、7人の老婆と若者が改造した冷凍トレーラーに乗って、伊勢、諏訪、出羽、恐山、皇居と御詠歌を歌いながら旅をする。老婆たちは神々と出会い近づこうとし、一方で若者たちは性の享楽にのめり込む。中上作品は3冊目ですが、否応なく文体から五感を刺激し、老婆らの感じる音や匂いなどを共有する錯覚に陥る。「路地」へは二度と戻れない。冷凍トレーラーに身を預け、新たな「路地」を見つけるのか、「路地」から脱却するのか・・・。『讃歌』という続編があるようで早速注文しました。

2022/09/17

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