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夢を与える (河出文庫)

夢を与える (河出文庫)

夢を与える (河出文庫)

作家
綿矢りさ
出版社
河出書房新社
発売日
2012-10-05
ISBN
9784309411781
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夢を与える (河出文庫) / 感想・レビュー

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さてさて

『夢を与えるとは、他人の夢であり続けることなのだ。だから夢を与える側は夢を見てはいけない。』芥川賞を受賞された綿矢りささんが受賞後第一作として送り出されたこの作品。そこには、芸能界をスターダムにのし上がっていく者の栄光と失墜の物語が描かれていました。まさしく芸能界の光と闇が描かれたこの作品。そんな物語の中に、綿矢りささんらしく青春のほろ苦さを絶妙にブレンドしたこの作品。幼き日の夕子を知るからこそ、読者の心を激しく揺さぶり続ける物語の中に、「夢を与える」という言葉がいつまでもあとを引く素晴らしい作品でした。

2024/01/23

ちょこまーぶる

とても面白いけど少女の鬱積している感情を知る一冊でした。親の勝手さに生き方や立ち振る舞いをコントロールされながらも、若干それが心地よいと感じたり、決して自分自身の本音を表には出さず大人の社会の中で必死に順応していこうとしている少女の姿が痛々しく感じてしまった。読み進めながら、いつかいい加減な男に騙されて身を亡ぼしていくんだろうと思っていたら、本当にそうなってしまい、あらすじとしては一種のお決まりコースなんだろうが、その過程の中の深い洞察表現は男の私自身にもわかりやすく読みごたえがありました。

2014/10/10

hiro

この本の解説を書いた犬童監督によってドラマ化されるということで、長らく積読本にしていたが、読んでみた。綿矢さんの芥川賞受賞後第一作。冒頭から不穏な展開で始まり、チャイルドモデルからCMで誰もが知っている人気者となった主人公夕子、夕子の母幹子とハーフの父トーマ、そして夕子の彼氏正晃、この主な登場人物4人の誰にも共感することはなかった。ストーリーは、夕子自身が蒔いた種によって転落していくが、すべては冒頭の幹子の行動から始まっていた。犬童監督がこの救われない小説をどのようにドラマ化したのか、是非観てみたい。

2015/03/13

黒瀬 木綿希(ゆうき)

物心ついた時には既にモデルを務め、中学入学と同時に大手芸能事務所に入り、スター街道を駆け上っていく夕子の栄光と、盲目的な恋をしたことによる失墜を描いた作品。手放しのハッピーエンドを望む人には不向き。学年が変わったり、卒業しただけであっという間に疎遠になってしまう友人関係がいやにリアル。多くの支えを無碍にした結末は後味が悪いように見えますが、何にも動じないと評された夕子の本当の人生がこれから始まると思うと、それはそれで良かったのではないかと思います。何年後かは分からないが、確実に後悔するでしょうけど。

2019/10/12

hit4papa

幼い頃からモデルで、長ずるに従って人気ものとなった主人公。そして、が描かれた作品です。華やかさの裏側の~、を予想しましたがちょっと違います。父と母が結婚するに至った過程、そして二人が冷えていく様が裏側にあって、主人公の生き方に微妙に影響を与えているのです。その微妙さ加減が、他のアイドルものとは違うのでしょう。クライマックスは、ショッキングな展開になり、やるせない気分に浸ってしまいました。よくある話ではあるものの、読み終えるとタイトルが意味が違ってみえます。それにしても、登場人物の男性たちはよく泣きますね。

2018/03/01

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