不思議の国のアリス ミステリー館 (河出文庫 な 35-1)
不思議の国のアリス ミステリー館 (河出文庫 な 35-1) / 感想・レビュー
HANA
諧謔、皮肉、怪奇。不思議の国のアリスを題材にしたミステリアンソロジー。題材が題材なだけか、理に落ちる話は少なくて半数近くが怪奇やナンセンスの分野に属するものであった。そっちはそっちで好みなんだけど、あまりにナンセンスの度が過ぎて理解できないのも二つばかりあった。この分野の話だと都築道夫が流石の出来。比べて理に落ちる話の方はすっきりと終わる話が多い。山田正紀の「襲撃」がストーリー的に一番だけど、田端の地霊を扱った中井英夫の「干からびた犯罪」も興味深い。やはり題材が魅力的だと、発生した話も面白くなるのだなあ。
2015/09/17
yumiDON
とても面白かったです。アリスのパロディというよりは、アリスをモチーフにしたミステリー集といったところです。ミステリーではありますが、あくまでアリスの世界なので不思議の国に足を踏み入れたような奇妙な後味だったり、え?どういうこと?みたいな気持ち悪い終わり方の作品もあります。都筑さんはどこか耽美で日本の怪談を思わせる素晴らしい作品でした。小栗さんも背徳的でそれでいてスリルと気持ち悪さがじわりとくる。中井さんは白昼夢にも似た目眩のするようなアリスワールド、これもまた堪能しました。この三編がとくにお気に入り。
2016/02/06
アリス
再読。最後の「襲撃」というところが、もう一度読んでみたくなったので読んだ。
2022/07/12
geshi
『死の国のアリス』応接セットの謎一本に絞った方がすっきりしたかも。『アリスの不思議な旅』言葉遊びって日本語にすると駄洒落になっちゃうのね。『鏡の国のアリス』アリス要素は薄い。ミステリーともホラーともつかない不思議な着地。『不思議の国の殺人』すみません、ちょっと理解不能。『方子と末起』百合関係にいきなり物理トリックを投げ込んでくるか。『干からびた犯罪』むしろ萩原朔太郎テーマ。こういうのを短編でやるか。『襲撃』トリックはかなり無茶だけど現実から少し浮いた空気と合って一番ミステリーらしい作品。
2016/11/04
えっくん
★★☆☆☆「不思議の国のアリス」をモチーフにしたミステリーやパロディ仕立ての7編のアンソロジー。この本が初版されたのは最近ですが、30年以上前の作品が集められており、描写にはやや古さを感じさせます。「不思議の国のアリス」に密接にリンクしているという訳でもなく、文体やストーリーの難解さが目についてあまり馴染めませんでした。アリスの不思議な世界観を期待し過ぎたのか、何度読んでもさっぱり理解できない作品もあって、不可思議だけが残った本です。
2017/06/22
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