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カネと暴力の系譜学 (河出文庫 か 32-1)

カネと暴力の系譜学 (河出文庫 か 32-1)

カネと暴力の系譜学 (河出文庫 か 32-1)

作家
萱野稔人
出版社
河出書房新社
発売日
2017-05-08
ISBN
9784309415321
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カネと暴力の系譜学 (河出文庫 か 32-1) / 感想・レビュー

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harass

この著者のヤングアダルト向け本からこちらを手に取る。率直な言い方で紛らわしいジャーゴンを避ける論考は好ましい。ドゥールーズ/ガダリの引用が多いが丹念に解説してあり論を追うのは容易い。国家は圧倒的な暴力を持つ唯一合法の存在であり、暴力の権利を駆使してきた。そしてそこから労働の権利、効率よくカネを獲得するようになったと。古いとされる暴力の概念と歴史上の例を丁寧に解説。資本主義は国家から脱却することは不可能と語る。当たり前とする既存の国家の意味合いに揺さぶりをかける刺激的で明快な本だ。おすすめ。

2017/06/22

ころこ

暴力を道徳的に分析しない点に、優れた哲学的思考をみます。2章では、国家の税とやくざのみかじめ料との違いから、国家の権力とはどの様に成立するのかということを、アーレントとホッブスを対置させて考えます。権力と暴力の関係を分離して考えるアーレントでは、権力の行使に道徳的な判断が混入してしまうことで、政治的な権力行使がより分断を際立たせてしまうと言います。他方、ホッブスの見解では、やくざと国家の暴力は同質出、単に力の格差だと言います。道徳的な価値をカッコに入れ、それらの合法性の差を問題にすることにより、国家内部に

2017/10/14

∃.狂茶党

フーコーや、ドゥルーズ&ガタリなどを引用し、切り分けていき、権力あるいは利権の足場となるものを語っていく。 引用文は結構あるけど出典は少ない。 元ネタを読んだ方がいいかなどとも思ったのですが、いささか軽いけれど、(物理的にもこの本は軽い)大変シャープな語り口で、入口として良いものだと思います。 ただ、先行する本を元に編んだだけで、統計などの資料独自情報などが出てこないんでものたりない点も。 テキ屋の治外法権を何が保証しているのかってのは、この本の中で小さな話題ですが、この本全体を捉えるものに思える。

2022/01/27

まあい

なぜ国家は暴力を独占できるのか? 国家が強いからだ。なぜ国家は租税を強制できるのか? 国家が強いからだ。国家から資本主義が出現し、資本主義と国家が分離し、機能分化しながら共存する。そのような国家と資本主義の生成プロセスが理論的に、かつ簡明に説明される。

2017/05/26

マッキー

今回は感想というより要約になってしまった。 以前国家は暴力の実践を通じ、労働を組織化し、その成果を吸い上げていたが、労働の組織化を代わりに行うようになったのが資本である。しかし、資本は暴力ではなく、富への権利(カネやモノの所有権)を使いそれを行なっている。 そして資本主義が社会に確立するにつれ、国家は労働の組織化を資本に任せ、暴力の実践つまり暴力の権利(国家のみが持つ正当な暴力行使)に基づいて富(税)を徴収し法的秩序を維持することに特化する。

2019/10/25

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