もぐ∞ (河出文庫)
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もぐ∞ (河出文庫) / 感想・レビュー
マーム
もぐ∞(もぐのむげんだいじょうと読む)というタイトルからは分からないが食べ物にまつわるエッセイ。内容はそこに留まらない。著者は詩人だからか独特の感性を持っている。小惑星探査機はやぶさが帰ってきたときに、おかえり!という共感の涙ではなく、機械が生きているように見えるわけでも、はやぶさに関わってきた多くの人のことを思ったわけでなく、ただはやぶさを見ると涙が出たという。感動は思考よりも感情よりも早くにやってくるから、どうして感動をしたのかということは辿ろうとしても結局後付にしかならないという主張はなるほどと思う
2023/06/15
ホークス
元本は2017年刊。著者は詩人。子供の柔らかな感性を保持している。本書は、食べる事への身体感覚を通じて考察するエッセイ。冒頭の『パフェはたべものの天才』で惹きつけられた。何故か最近、無性にパフェが食べたい。そうか、パフェは天才だから仕方ないよね、と嬉しくなった。著者の疑問は興味深い。コーヒーや酢の物は美味しくないのに何故食べるのか?人は一瞬一瞬で味を完結できず、後味や余韻に引きづられる。だからとても苦いものや酸っぱいもので区切りをつける、という結論。感覚に対して妥協しない所に、詩人の凄みを感じた。
2022/07/10
tenori
詩人・最果タヒの人物像は謎めいていて、使う言葉や文体からシュールな印象が強かったのだけれど、食にまつわるエッセイを通じて距離感が縮まった感じ。一般的な食エッセイに比べて「食べている自分」を客観的に見つめているところが面白く、やはり独特な感性を持っている方だなと思う。子供の頃のファンタジーがある日突然常識になり、醒めてしまうことを引き合いに、謎のままであってほしいと綴る「アイスクリームは魔法味」が好き。
2023/01/07
水色系
言葉も絵もなんかもう全部がポップでかわいい食べ物エッセイ。明日はうどん屋に行ってちくわ天食べよっと。以下引用。孤独になることぐらい生きていればいくらでもあって、ひとりぼっちになることなんて、生きていればあんがい当たり前のできごとなんだとわかってくるけれど、それでも私には私がいるのだということ、そのことも同時によくわかる。(P22-23)
2023/04/07
TSUBASA
詩人最果タヒの食エッセイ。キャンバスにダイナミックに殴り描きしてるけども繊細な色合いが出てるような文章という感じで表現が独特。「インスタの食べ物写真は本当に「おいしそう」で実際に食べたいと思わない感じ」「素朴な味に対して「懐かしい」なんて、素朴にも、懐かしさにも失礼だろうよ」「大人は温度を食べている」。詭弁のように思えることもあるけど、何となく知覚している感情の隙間を撃ち抜いてくるような表現が色々。でも、おいしいものがいかにおいしいか、が一番読んでて幸せだなぁと感じた次第。
2022/05/07
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