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一の糸 (河出文庫)

一の糸 (河出文庫)

一の糸 (河出文庫)

作家
有吉佐和子
出版社
河出書房新社
発売日
2022-05-03
ISBN
9784309418889
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一の糸 (河出文庫) / 感想・レビュー

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佐島楓

清太郎が奏じる三味線の「一の糸」の響きに魅せられた茜。彼を熱烈に恋するようになり、押しかけていく形で一夜をともにするのだが……。場面転換の鮮やかさ、ドラマティックさとスピード感に心を奪われ、かなり長い小説なのだが先が気になり一気に読んだ。女性の一生を描いた小説というだけでなく、戦前戦後の文楽を中心とした日本芸能史としても参考になる。有吉さんはこれまで『恍惚の人』など数冊しか読んでいなかったけれど、全然色合いが異なるものをお書きになっている。これを機にいろいろな作品を読んでおこうと思う。

2022/06/10

はる

文楽の天才三味線弾きで美貌の清太郎に心を奪われた、造り酒屋の箱入り娘、茜。我が儘で世間知らずの典型的なお嬢様の茜だが、やがて芸一筋の清太郎を支える妻となっていく……。大正から昭和にかけて、震災と戦争の時代。家の没落や子供たちとの不和にも負けず、奮闘するひとりの女性の波乱の人生。壮絶な芸の世界の描写と共に、有吉佐和子さんの円熟した筆致を堪能した。

2022/07/24

ぐうぐう

文楽における太夫、そして人形遣いに対し、三味線弾きは存在感が薄いように思える。しかし有吉佐和子は、その三味線弾きに恋し、やがて妻となる女性を主人公にする。恋をするきっかけの場面が秀逸だ。目を患い、見えなくなった少女・茜が文楽へ行き、太夫の浄瑠璃ではなく(目を患っているので、ましてや人形は見えない)、三味線の音色に心を奪われる。その三味線弾きが露沢清太郎だ。姿形ではなく、耳だけで虜になった事実は、理屈を凌駕した恋情の純粋さを茜に、そして読者に信じさせるに充分だ。(続く)

2022/09/05

やまめパンジー

私にとっては一番お気に入りの小説です。読者も少なく、それほど評価が高くない理由が不思議なのですが。すでに何度も読み、今回もまた心を入れて読みなおしました。 私は茜の母世喜に憧れます。そして芸に打ち込み、己の研鑽に一歩も譲らない清太郎も。 有吉佐和子さんは芸術/美術に造詣深く、登場人物を通じてその魅力を教えてくれる。どの小説も読み終えたときに豊かになった自分を感じます。

2022/09/05

栄吉

★★★☆☆ 文楽の三味線弾きに惚れてしまった茜の人生、この作者は女性の人生とは?考えさせられる。

2022/09/09

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