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復讐 三島由紀夫×ミステリ (河出文庫)

復讐 三島由紀夫×ミステリ (河出文庫)

復讐 三島由紀夫×ミステリ (河出文庫)

作家
三島由紀夫
出版社
河出書房新社
発売日
2022-05-03
ISBN
9784309418896
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復讐 三島由紀夫×ミステリ (河出文庫) / 感想・レビュー

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藤月はな(灯れ松明の火)

倫理の慮外で戯れながらも豪奢で残酷で純朴な心理を物語として描けるならミステリが一等、似つかわしい。それを形にしたのが三島由紀夫である。まずは「サーカス」の永遠の若さへの妬心と羨望、そして解放に捧げられたような供物としての死に陶酔としてしまう。「毒薬の社会的効用について」は、死にたがりを生きやすくするという逆説が付随する皮肉があるからこそ、毒という存在の絶対性が際立つのだ。「果実」は「男は不潔」と思うも赤ちゃんは絶対、欲しい二人の恋人たちが現在となっては現実味を帯びている。しかし、赤ちゃんへの可愛がり方は

2022/07/17

桜もち 太郎

三島由紀夫のミステリアスで奇妙な物語。12作品が収録されているが、どの作品にも「殺す」ことが含まれている。良かったのは「復讐」「水音」「 月澹荘綺譚 」だ。そして自分的に最高だったのは「朝の純愛」。熟年の夫婦が知り合ったときと同じように、ある朝、新鮮で純愛的接吻をし、体を重ねるところから物語は始まる。「全力をあげてこの腐敗と分解作用に抵抗しようとしたのである」、新鮮な朝を迎えるために夫婦がとった行動とは、まさに現代のAVのような感じがした。たまらない。そして最後にやはり夫婦は殺されてしまう。→

2023/07/24

hoiminsakura

昭和19年から40年に書かれた短編のうちでも少々ミステリじみた小説を集めてある。特に初期の作品の中に「奔馬」「豊饒」「潮騒」などの単語を発見すると不思議な気持ちになる。「月澹荘綺譚」の不気味なエロスが印象に残る。「朝の純愛」はどこかで読んだことがあるので調べたら、新潮文庫の短編集「女神」に収録されていた。

2023/01/16

Inzaghico

新しいもので昭和40年の執筆だ。「朝の純愛」は、50歳と45歳の夫婦が若者をだしにする話なのだが、最後は三島の美意識に貫かれた終わり方だな、としみじみ思う。何もしない高等遊民の夫婦で、お互いしか見えていなければ、こういう生(と性)もまたよし、なのかもしれない。

2022/07/25

黒い森会長

「文豪ミステリ傑作選三島由紀夫集」1998年刊を改題、2022年5月新装版。「サーカス「毒薬の社会的効用について「果実「美神「花火「博覧会「復讐「水音「月澹荘奇譚「孔雀「朝の純愛「中世に於ける一殺人常習者の遺せる哲学的日記の抜粋 の12作。殺人と犯罪の物語集。三島らしい技巧と観念の物語。

2022/10/17

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