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太平洋の防波堤 (河出文庫)

太平洋の防波堤 (河出文庫)

太平洋の防波堤 (河出文庫)

作家
マルグリット・デュラス
Marguerite Duras
田中倫郎
出版社
河出書房新社
発売日
0000-00-00
ISBN
9784309461007
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太平洋の防波堤 (河出文庫) / 感想・レビュー

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ネムル

『愛人』を読んでからの再読。植民地のインドシナで官吏に騙されて潮まみれの糞土地を掴まされた親子一家。現地の最下層フランス人・山のように生まれ山のように死に、墓もなくただ埋められていく現地人・さらにはゴムで儲けた成金バカ。デュラスの実体験とはいえ、ボスコロ文学としてまずシチュエーションが面白すぎるな。とはいえ、ただ死んでいくだけの子の悲しみは強く描かれず、ド貧民にはドド貧民に意識を向ける余裕はないのか、などと身も蓋もないまとめ方をしたくもなったが、後の『ヒロシマ・モナムール』を観るにそう単純ではあるまい。

2020/04/25

白のヒメ

仏領インドシナ海(現ベトナム)に入植した極貧のフランス人家族、母親、息子、娘の物語。金持の醜い男が遊びの為にその美しい娘に近づき、また同じく金持の有閑マダムが戯れにその美しい息子に近づく。「金」というものの前では、その母、兄妹の人間としての自尊心は消えてしまった。先の見えない混沌とした息苦しい貧困は、どんなに元が善良な人間であっても、人間性を捻じ曲げてしまうのか。確かにそこから逃げ出すにも、当時の親子の状況では、自力では無理だった。色々考えた。「貧困の中で正しく生きること」は人間の永遠の課題なのだろう。

2013/08/11

著者の過去を土台にした小説。海と森にかこまれた仏領インドシナで、貧困と死を近しいものとして暮らす母、息子、娘。タイトルの「太平洋の防波堤」は、毎年の高潮で水浸しになり収穫ができない農地を守るため母が建設した。数か月をかけて完成した防波堤は、高波によりたった一晩で壊された。知らぬ間に蟹が防波堤を食い荒らしていたために。もう笑うしかない、悲惨すぎて。貧困から逃れるには、自分を連れ出してくれる財力を持つ男または女を待つしかない。でもまだいい、その意志があるうちは。意志を失くしたとき人は死んでいく。

2016/12/04

かみしの

不良でイケメンな実兄に恋した少女が糞童貞と処女厨に迫られながらも、最後はお兄ちゃんの幻想を追い求めてヤンキーとしてしまうお話。と言ってもいいけれど、やっぱり主題は家を出るということだと思う。男は女(新しい家)を作ることで、女は性を自らのために用いることで、家からの脱出をはかる。一部では母に殴られるままになっていたシュザンヌが、二部では制すようになる。男に必要とされるようになることが、成長を表しているわけだ。太平洋の防波堤とは、母の耐えてきたものであり、ジョゼフ自身(p249)とある。傷と生の物語。

2016/03/19

ネムル

防波堤を越えてやってくる高潮に荒らされた地に縛られた一家の物語。子が山のように生まれて、死んでいくことが絶対に必要とされる地獄絵図のようなインドシナの地に、借金まみれで閉じ込められるというのだからたまったもんじゃない。ここに下心丸出しのウブな成金バカボンが介入してきて、極貧一家のやけっぱちな哄笑に翻弄される前半はカリカチュアのように読めかねない危うい笑いがあるのに比べて、ただでせしめたダイヤを使って苦難から逃げようとする後半が少しかったるいのだが。

2013/11/16

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