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O嬢の物語 (河出文庫 レ 1-1)

O嬢の物語 (河出文庫 レ 1-1)

O嬢の物語 (河出文庫 レ 1-1)

作家
ポーリーヌ・レアージュ
澁澤龍彦
出版社
河出書房新社
発売日
2010-08-03
ISBN
9784309461052
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O嬢の物語 (河出文庫 レ 1-1) / 感想・レビュー

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徒花

ひとりの女性が愛する男の手によって奴隷に貶められ、最終的には人間性を失って道具となっていく物語。ただ、意外にも露骨な性描写は少なく、どちらかというと自由を奪われていくO嬢の視点から、むしろ自由を奪われていくことにより充足感を得ていく心理的描写が文章の大部分を占める。語り部であるO嬢が特殊な性癖の持ち主だと考えれば単純ではあるが、むしろ「なにをしてもいい」という自由が人間を生きづらくさせる要因なのかもしれないということを考えさせなくもないが、たぶんそれは深読みのし過ぎ。

2017/03/25

青蓮

読むのに時間がかかってしまいましたが、漸く読了しました。読んでる間はまるでフランス映画を見てるようでした。Oが変化していく過程がとても興味深い。後半の肉体改造は痛そうだった……。

2016/01/03

YM

二階堂奥歯さん恋愛ものベスト15より。一人の女性が愛する人に言われるがまま、調教され、奴隷状態を受け入れ、行くとこまでいってしまうお話。主人公Oが肉体的に快楽を得ている描写はほぼなく、きつい要求をどんどん受け入れていく。それはマゾヒスティックというより、愛する恋人が望むからという純粋な思いがそうさせる。一言愛してるよって言われると、嫌でも受け入れる。とはいえ、さらにエスカレートしていき、あんなことやら、こんなことになっちゃって、凄まじいラストへ。唖然とした…。なんて究極で美しいんだとは言えない。つらいよ。

2014/12/17

ナマアタタカイカタタタキキ

まさしく性倒錯の世界…もうお腹一杯。私がO嬢だったらこの過程のどこかで間違いなく発狂するわ。よく言われがちな、鞭で打たれる痛みそのものがそのまま快楽に変換されるという現象は、恐らく幻想なのだろう。気高き性奴隷とでもいうべきか、自我を脱ぎ捨て服従する歓びを描いてはいるものの、愛情やら葛藤やら、そういった人間的な意思を最後まで失わずにいるのが興味深い。男性らは彼女をそういう人形に造り上げたのか、それとも目覚めさせたに過ぎないのか。フクロウを被せた姿は想像して笑ってしまった。最終章が削られ尻切れ蜻蛉なのが残念。

2020/05/29

HANA

西洋好色文学の一端に連なる小説。翻訳は澁澤龍彦。本名を記されないOという女性が恋人に連れ込まれた館でのSM、恋人の友人への譲渡といった過程を経てマゾヒズム、奴隷としての自覚に目覚めていく一種のイニシエーションとしても読める。他の登場人物は全て名前を持っているのに主人公だけがOというイニシャルだけの存在なのがそれに輪をかけているのかな。行為自体は鞭打ちくらいで、そういった行為に主人公や他者が形而上学的な思弁をするといった上品な好色文学の伝統に沿ったものだが、本書に関してはその有り得なさも含めて楽しめたかな。

2021/09/17

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