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葬儀 (河出文庫)

葬儀 (河出文庫)

葬儀 (河出文庫)

作家
ジャン・ジュネ
Jean Genet
生田耕作
出版社
河出書房新社
発売日
2003-02
ISBN
9784309462257
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葬儀 (河出文庫) / 感想・レビュー

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syaori

恋人ジャン・Dの死から語り始められる物語は、「彫像の胸をたち割って二十歳の青年を釈放することが狙いである」とあるようにジャン・Dのための物語なのでしょう。何度も彼を花で「飾り立てる」イメージが語られることからもそう感じました。糞と精液と男色と殺人と、あらゆる汚物と悪徳にまみれた荘厳な饗宴のなかで、語り手が彼からの言葉〈前よりももっときみが好きだよ〉をジャン・Dに返しているのかもしれないとも思いました。饗宴の後の「雛菊の花を、しずかに、恭々しく捧げ」る優しいリリックな、少し寂寥感もある余韻がとても好きです。

2016/05/19

oz

小説におけるジュネの戦略はサルトルが『聖ジュネ』で分析してみせたように私生児・同性愛者・囚人という卑賤な出自を裏返しの強さに昇華し、ある種の聖性を帯びたことにあるが、これはポスコロの戦術の先取りでもあって、現代文学の基本戦術の一つである。ジュネの小説作品は殆どが四〇年代に獄中で書かれ、『葬儀』はその時期の最後に記された最も過激な作品で、小説以後のジュネの姿も垣間見れる。特にナチズムへのシンパサイズ(恋人の敵で祖国の敵であるはずのナチスに自らを同一化してしまうという屈折したプロセス)としてその一端がある。

2012/09/29

なめこ

禁忌だの問題作だのと散々扇情的な文句を見てしまった後に読んだせいか(悔やまれる)、ある意味では拍子抜けしたのだが、まったく予想できなかった別種の面白さがあった。と、いうのも、ひたすらにロマンチックなのだ、この語り!「私」が愛する男「ジャン」(語り手と同名)の死によって語り始められることになったこの作品は、「私」の彼への愛が様々な登場人物によって媒介され、もうほとんど媒介そのものへの愛のようになってしまい、語り手の一人称であったはずの「私」が突然その媒介の一人物の一人称にすり替わっていたりする。

2016/01/22

みほ

乗り移り系の文は初めてだ。はぁ?と思ったのもつかの間で、すぐにヒトラーにもなれた。 (わたしは世界のおかまを掘っているのだ)などなど笑える壊れ方が沢山あって、ものすごいクソ野郎だ。

2014/07/29

桜井晴也

私は彼の墓場だ。大地は虚しい。死に絶えたのだ。陰茎も果樹園もいまでは私の口から生える。つまり彼の口から。ぱっくり開いた私の胸をかぐわせ。一本の李の木がその静寂をふくらませる。彼の眼から、たるんで眼瞼の下へ瞳が溶けて流れた眼窩から、鉢の群れが飛び立つ。市街戦の銃弾に斃れた若者を食らうのは、若い勇士を平らげるのは、容易なわざではない。ひとはだれしも太陽にひかれる。私の唇は血まみれだ、そして指も。歯で私は肉を食いちぎった。普通なら、死体は血を流さない、きみのはちがう。

2009/08/16

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