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舞踏会へ向かう三人の農夫 下 (河出文庫)

舞踏会へ向かう三人の農夫 下 (河出文庫)

舞踏会へ向かう三人の農夫 下 (河出文庫)

作家
リチャード・パワーズ
柴田元幸
出版社
河出書房新社
発売日
2018-07-05
ISBN
9784309464763
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舞踏会へ向かう三人の農夫 下 (河出文庫) / 感想・レビュー

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mitu

【関与のない観察はあり得ない。解釈の混じらない事実はあり得ない。】 【現在の中の過去、横に並んだ二つの世界の相互干渉。歴史が二番目の像をほんの少し傾けることで、視座の作用によって二つの像が重なり合い、オリジナルの三次元を十全に再現する。そのオリジナルの像、唯一あり得たオリジナルの像こそ、ただ一つの不動の舞踏なのだ。】 アウグスト・ザンダー(1876-1964)は「ポートレイトで世界を把握しようとした男」。WW1の開戦直前の1914年5月1日、ドイツの人物写真家ザンダーによって撮られた農夫の写真をきっかけに

2020/05/10

ヘラジカ

ここまでの力作が、作者自身は読まれることを想定していなかったとは驚きだ。確かに持てる知識とエネルギーを全てつぎ込んだ感のある作品だが、目的や構想がしっかりしているからか整然とした印象を持つ。三つの時間軸と物語の僅かな"ズレ"は立体化させる為の試みだとは、なんて技法的な作家だろう。該博な知識も併せるとやはりピンチョンを思い起こす。読者を視ていないにも拘らず、ミステリー仕立てで読ませるストーリーを完成させているのも素晴らしい。これがデビュー作だなんて世界にはとんでもない作家がゴロゴロいたものだ。

2018/07/10

tokko

アウグスト・ザンダーの一枚の写真から壮大な物語が紡ぎ出される。ペーター、アドルフ、フーベルトがどのようにしてこの写真に映るに至ったか。そしてどのようにこの後の人生を歩むことになったのか。そして彼らが生きる二十世紀は一体何だったのか。戦争と消費社会、情報産業にオートメーション…。実在の人物ヘンリー・フォードやサラ・ベルナールなどを巧みに登場させ、どこまでが本当でどこからが創作か(そもそも本当ってなんだろう)境界線も歪みも感じさせない力作。歴史や記録についての考えが揺らぎます。

2018/08/01

おおた

やっぱりパワーズとの相性わろし。写真1枚から20世紀を浮かび上がらせるというのだけど、逆に考えると実在の文化人3人が中途半端に使われて終わっている。物語の中心から外れたところをぐるぐる回り続けて結局たどり着かなかったという印象。「小説のテーマ」とかではなく、あらゆるものを3つに分けたことがネガティブに、薄まって働いているように読める。写真複製からの情報論も現代から見ると過去の1シーンどまりで、それやるなら21世紀へのつながりを見せてよ、と中途半端さが否めない。

2018/08/14

ふるい

なかなか流れに乗れず、再読なのに二週間ほどかかってしまった…。でもよかったです。一枚の写真からどんどん物語が(あるいは歴史が)増殖していき、作者と読者が共犯関係を結び、大きなカタルシスに到達する。20世紀=暴力の世紀ならば、三人の農夫がカメラの向こうに見て恐怖したものは、いったい…。最後のメイズのパート、穏やかな希望に満ちていて好きだ。あとどうでもいいけど私、これを書いた当時のパワーズの年齢と今同じ歳です(24)。世界を意識するお年頃?なのかなぁ。

2018/08/22

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