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完全な真空 (河出文庫)

完全な真空 (河出文庫)

完全な真空 (河出文庫)

作家
スタニスワフ・レム
沼野充義
工藤 幸雄
長谷見 一雄
出版社
河出書房新社
発売日
2020-01-07
ISBN
9784309464992
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完全な真空 (河出文庫) / 感想・レビュー

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やいっち

レムはアリストテレスじゃないが、真空など認めたくはなかったのだろう。だからこそ、<存在しない書物>をでっちあげてでも文学の時空の穴を埋めようとしたのだろうか。あるいは、古今の文学時空にも穴はある。その穴の存在を示すため、空無を何処までも完璧に埋める営為を示してみたのだろうか。ドン・キホーテ的な、喜劇的な企図と言うしかない。ま、読者たる吾輩は、生真面目に翻弄されるしかないのだろう。  

2021/05/28

そふぃあ

冒頭からもう ボ ル ヘ ス じ ゃ ん って思いがすごい。『伝奇集』の存在しない書物や場所がさも実在するような緻密さで描かれた短編たちを読んでるときのあの名状し難い尻の座りの悪さ、あの感覚の再来。 「ギガメシュ」がエグすぎた。多義性のある作品をオマージュした多義性のある作品のすべての参照事項、連想、文化・神話、語源に注釈したその多義性の一部に触れるだけでも発狂しそうになる恐ろしい批評。 不可能を可能にするのは架空の書評だからこそ為せるわざだ。

2020/01/30

masabi

【概要】架空の書籍の書評の体裁を取った短編集。【感想】小説に落とし込めないが捨てるには惜しいアイデアだけあって、実在する本だったらどれだけ良かっただろうか。小説に文化のすべてを詰め込んだ「ギガメシュ」、戦後のアルゼンチンでパリの宮廷を再現する「親衛隊少将ルイ16世」、物理法則は発展途上だと説く「新しい宇宙創造説」など。本書と同じく架空の本の序文の体裁を取った本もあるそうなので、そちらも読みたい。

2020/06/02

ハイちん

書評集の体裁をとったフィクション作品。この世に存在しない書籍を書評している。書評という体裁を通してメタ的にフィクションを書く、という試みはボルヘスもやっていたらしい。この書評スタイルの試みによって感情移入とか詩的表現といった楽しみは作品から失われてしまった。その代わりに作品の本質的なところ、一番面白いところが強調されており非常に密度の高い作品集になっている。書評スタイルだからフィクションとして発表したらナンセンスとしか言われなかったであろう作品すらも、読みどころがわかり面白く読める。発想がすごい。

2021/02/16

ドーナツ野郎

前半の数編にはまだ皮肉やユーモアを感じることができたが、後半の数編は晦渋な文体と専門用語の多用のために正直読み飛ばさざるを得ない細部が多々あった。ある種のディストピアを描いたものや、宇宙や文明の新たな捉え方を示したものにSF作家としてのレムの真髄が発揮されているのだろうが、惹かれたのは「自己小説は種明かしを観客に向かって自ら行う手品師のようなもので、反小説は自分で自分の正体を暴くことさえやめて、ただ存在することを目指した(※引用ではない)」というような実験文学史の端的な要約や「逆黙示録」のような作品。

2020/04/22

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