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ドイツ怪談集 (河出文庫)

ドイツ怪談集 (河出文庫)

ドイツ怪談集 (河出文庫)

作家
種村季弘
出版社
河出書房新社
発売日
2020-03-05
ISBN
9784309467139
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ドイツ怪談集 (河出文庫) / 感想・レビュー

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HANA

ドイツは四角四面で規則に忠実というイメージがあるが、それが文学になるとどの作品にも彼方への憧憬というか、神秘主義のようなものが見られるのは不思議。本書もその例に漏れずどこか秘教めいた感覚を十全に楽しむことが出来ます。個人的に白眉は何といってもマイリンク「こおろぎ遊び」一枚の地図の上に描かれる黙示録めいた地獄絵図は何度読んでも忘れがたいイメージを残す。アンソロジーピースとしては鉄板の「ロカルノの乞食」白昼夢、悪夢めいた「カディスのカーニヴァル」「死の舞踏」も傑作。ドイツ怪談の精華に触れれる一冊だと思う。

2020/08/16

くさてる

由緒正しく古めかしい雰囲気の怪談、ということで退屈するかなと思ってたのだけど、杞憂だった。どれも雰囲気がそれぞれ違う作品で、面白い。怪談というだけに落ちや意外な展開よりも雰囲気を楽しむものと思って読んでいたら、読んだあとにいつまでも不穏なものが心に残る「庭男」や「写真」のような話が好みでした。

2020/08/29

三柴ゆよし

いつから以前読んだことがあると錯覚していた? マイリンク「こおろぎ遊び」が満点。チベットの山奥で……行方不明の探検家が……という時点で興奮する。闘蟋の場面のグロテスクさもすごいが、ひとりの男の怖いもの見たさが全欧州に破滅をもたらしてしまうという極大の誇大妄想的ヴィジョン。自分が知らないだけで、マイリンクにはまだまだ隠れた傑作が隠されていそう。ほかにハンス・ヘニー・ヤーン「庭男」、ルートヴィヒ・ティーク「金髪のエッグベルト」が印象に残った。ぜんたいに、怪談というよりは病的な物語が多く収録されている。

2020/04/05

ふるい

18〜19世紀に書かれた、古色蒼然とした正統派な怪談も、それ以降の荒唐無稽でシュールな怪談も、どれも面白かった。猜疑心から発する狂気「金髪のエックベルト」、診療記録風に描かれる少女の悪魔憑き騒動「オルラッハの娘」、歴史の魔術的解釈「こおろぎ遊び」、宿屋一家のおぞましき謎「三位一体亭」、あとはこれが一番リアルに怖かった「写真」あたりがお気に入り。

2021/01/13

翠埜もぐら

本当は再読。18世紀の怪奇小説は、幽霊とか怪奇現象を一生懸命理論的に説明しようとする傾向がドイツだけでなくあるような気がします。まあ理屈っぽいんですよ。なので「カディスのカーニバル」のように、ひたすら理不尽な現象がそこにあるだけと言う話は大好きです。大体説明できないからこそ怖いわけで、真昼間祭りの最中の広場での怪異、と言うのも楽しいですね。怪談集で楽しいはおかしいかな。

2020/06/06

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