KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

『ハックルベリー・フィンの冒けん』をめぐる冒けん

『ハックルベリー・フィンの冒けん』をめぐる冒けん

『ハックルベリー・フィンの冒けん』をめぐる冒けん

作家
柴田元幸
出版社
研究社
発売日
2019-10-21
ISBN
9784327481681
amazonで購入する

『ハックルベリー・フィンの冒けん』をめぐる冒けん / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

田中峰和

冒険をわざわざ「冒けん」と表記するところに訳者の工夫がある。主人公のハックルベリーはろくに学校も出ていない少年。ハック自らが一人称で語る形式で、原書の英語は平易な単語ばかりだが、わざと誤字がちりばめられている。原書との対訳にもページを割いているため、ハック流の単語も楽しめる。彼の言語背景には養育先のミス・ワトソンが丸暗記させる英国史があるため、ときには難解な用語が持ち出され、アンバランスな魅力の一つとなっている。少年の独白という形式が1世紀後の「ライ麦畑で捕まえて」に与えた影響は計り知れない。

2020/01/25

aries

当時の時代背景がよく分かり、ますますキャラクターに対する愛が深まった。さらに影響を受けた作品や派生作品、本編に載らなかったエピソード等書かれていて楽しめた。ただ『リヴァーズ』ってエピソードは妙に現実的で悲しい。 この本を読む時のBGMは大好きなMoon River。

2020/07/19

takeakisky

メイラーの書評で古典は、法外なハンデを負わされた一流の競走馬とあり、上手いこと言うと感心する。それとともに、柴田訳でハックは大分そのハンデが軽減されたなと。テーマだけでなく、語り口もぐっと今日的になった。その秘密と苦労の一端が明かされている。冒けんに入らなかった冒けんの断篇二つも面白い。ただ、表紙の雑なコラージュと本篇との判型と紙質の違いは残念。こういう本は装丁にうんと気を遣ってほしい。出版社には猛省を促したい。いい本なのに。

2023/02/26

マタタビ

「ジムの幽霊話」と「筏のエピソード」が読めたのは良かった。/ジョン・キーンの「リヴァーズ」は読みたくなかった。後悔している。本編後の未来のもしもの話だが、ファンタジー要素を徹底的に排除し、私たちがが注目してやまない黒い部分を前面に押し出している。トムソーヤとハックにあった悪い点を増長させて大人にしている。これが同人誌ならヘイト創作、未来IF、キャラ改悪、微死ネタの注意書きが必要になっただろう。読み込みが浅いことは分かっているが、むしろじっくり読まなくて良かった。評価が高いのは解るけど読みたくなかった!

2022/12/06

ゆたち

たまには英語を読まないとなまるなと思っていたところに素晴らしい一冊。ジム目線でハックルベリーフィンの後日譚を描いたジョン・キーンのリヴァーズの迫力。フォークナーを思い出させる密度の濃い短編でした。

2020/11/14

感想・レビューをもっと見る