幻視者 上―あるいは社会主義の先駆者たち (古典文庫 16)
幻視者 上―あるいは社会主義の先駆者たち (古典文庫 16) / 感想・レビュー
刳森伸一
『幻視者-社会主義者の先駆者たち』というタイトルは的を射ているとはいいがたく、実際には、奇人伝という様相を呈している。とはいえ、自分をアンリ2世と思い込んだスピファームや、有名な詐欺師カリオストロなど興味深い人物が並んでいるし、事実の羅列に終わらないネルヴァルの筆も冴えていると思う。上巻での白眉は、『悪魔の恋』で有名な作家ジャック・カゾットの小伝だろう。これを読んで『悪魔の恋』が読みたくなった。
2019/10/29
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