娘に語る祖国 (光文社文庫)
娘に語る祖国 (光文社文庫) / 感想・レビュー
西
つかさんが書いていることだから、どこまでが事実で、どこまでが虚構かわからない。けど、わずか200ページのなかに、つかさんの魅力があふれていた。その時代をなぜか羨ましいと思う。それだけの熱量がある。 在日韓国・朝鮮人、その二世、三世として生まれてきた人の味わう辛さ、想いというもの。そこへの複雑な感情。つかさんの魅力の理由が少しわかる気がするとともに、もっと学びたいとも思う
2017/04/16
湖都
某元宝塚歌劇団トップ娘役が、この「娘」であることから興味を持って。私は彼女が大人になって舞台で輝いている姿しか知らなかったので、彼女の生まれた時のこと、名前の由来やルーツが語られていることが興味深かった。また筆名が平仮名である理由や、父と娘の姓や国籍が違う理由が特に印象的。そして何より、在日韓国人であることについてが深くて難しい。日本人にも韓国人にも差別され続けて、どうしたらいいのかわからない気持ちがそのまんま伝わってくる。しがらみに囚われずに生きられたら良いと思うのは、これも戦争を知らないからなのか。
2019/08/14
Shinchan
劇作家つかこうへい、在日韓国人としてのアイデンティティについて娘に語るかたちで綴られている。日本人からはなかなか判り得ない韓国の人たちのメンタリティなども垣間見ることができる。 人と人との交流、親、子供、隣人、同胞、民族について考えさせられる本である。
2011/12/27
積読亭くま吉(●´(エ)`●)
いつかこうへいに願いを込めたペンネームだと聞いたことがありますまだまだ、まだまだ著者の本を読んで居たかった。優しさの塊がそのまんまこの作家なんだと思っています
法水
何度目かの再読。つかこうへいさんが当時4歳の愛娘みな子ちゃん(元宝塚の愛原実花さん)に語りかけるという形式で、平易な語り口ながら人として生きる上で大切なことが綴られている。ソウルオリンピックの前年、『熱海殺人事件』上演のために訪れた韓国での出来事が中心なので、現在とはいささか事情が異なる点もあるが、日韓それぞれの考え方や風習の違いは今読んでも面白い。もちろん、つかさんは在日二世としての葛藤も抱えてはいたと思うが、国籍の前に「つかこうへい」としての生き方を貫いた人なのだなと改めて実感。
2014/06/16
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