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幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)

幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)

幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)

作家
クラーク
池田真紀子
出版社
光文社
発売日
2007-11-08
ISBN
9784334751449
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幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫) / 感想・レビュー

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のっち♬

異星の知性体により宇宙秩序のために飼育される人類と地球の変貌を哲学的思索を交えて描く。国連事務総長や黒人青年の視点で得体の知れない統治者に迫るミステリー的展開が前半の推進力で、圧倒的な力を前にした人類の対立やユートピアの光景に社会や文明発達への鋭い洞察力が光る。質感が大きく変化する第3部を覆うのは産婆役に徹する石女オーヴァーロードの悠久の悲哀。この視点こそが「目先の快楽」だけを求め続けた人類の向かう先に強い説得力をもたらしている。畏怖すら覚える鮮烈なイメージをもって人類の思い違いに警鐘を鳴らすSFの傑作。

2021/11/23

まふ

地球人類の生存時期を幼年期、青年期、晩年期と規定して超マクロの観点から想像したスケールの大きな作品。第1部(幼年期)はオーヴァーロードが姿を見せず、第2部(青年期)で姿を現し、第3部(晩年期)ではオーヴァーロード自身の知らない世界へと展開される、という設定である。一体地球とは、銀河系とは、宇宙とは何ものなのかを突き詰めて考えると、このような「観念的世界」が生まれてくるのだろう。「地球外知的生命体」とはどのような生き物なのか、いつ頃我々人類は彼らに遭遇できるのか、まことに興味深い。G1000。

2023/12/29

buchipanda3

結構昔の作品だが、普遍的かつ超然的な観点で突き詰めた独特な着想に驚かされた。冒頭の都市上空に巨大宇宙船現るという象徴的な場面に頬が緩む。異星人オーヴァーロードの狙いは何か。彼らの容姿がまた意味深。最後に行き着いたあの事象が示唆するもの、それは究極の進化にも見える。ただ既存の価値観だと良かったのか判別できない。でもあれは抽象的なもので、今後実際に起こりうる具体的な形態のヒントになるかも。そう思うと普段使われない箇所の脳みそのツボが刺激されたかのように軽い興奮と共に思考が巡った。あとクジラの存在はやはり特別。

2020/06/22

星落秋風五丈原

【ガーディアン必読1000冊】第二章【黄金期】はオーヴァーロード達に統治されたために、図らずも世界平和が実現してしまったという正にタイトル通りの光景が描かれる。ならば万々歳ではないか、これが理想というものではないかと思いたくなるが、一方でマイナス面もある。どこをどう取っても自分達より優れているオーヴァーロードを前にして、科学も芸術もこれ以上発展しなくなったのだ。ということは、トップに立つものがどこか欠けている存在であった方が、或いは世界はどこかが必ず渇いていた方が発展が見込めるということになる。

2020/03/06

seacalf

SFという枠に留まらず、古今東西の様々な作品に影響を及ぼした本作。何の前情報も知らずに読めたのは幸せだったので、未読の方もぜひ。エンターテイメント性も高いので、理系知識に乏しくとも面白く読める。SF慣れしてないので、自分の想像力を遥かに凌駕する展開に、まるで頭のストレッチをしてるかのよう。人類はどこに向かっていくのか?こんな風に遠くに思いを馳せるのも、たまにはいいかも。個人的には、ぽかんとしてしまった結末。少々浅はかだと揶揄されたとしても、自分としては喜びや笑顔の感情が広がっている未来の世界を想像したい。

2017/03/20

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