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ガラスの鍵 (光文社古典新訳文庫 Aハ 4-1)

ガラスの鍵 (光文社古典新訳文庫 Aハ 4-1)

ガラスの鍵 (光文社古典新訳文庫 Aハ 4-1)

作家
ダシール・ハメット
Dashiell Hammett
池田真紀子
出版社
光文社
発売日
2010-08-10
ISBN
9784334752101
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ガラスの鍵 (光文社古典新訳文庫 Aハ 4-1) / 感想・レビュー

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buchipanda3

ハメットの長編作。古典新訳シリーズにハードボイルドが入っているのは嬉しい。やや厚めの作品だが、主人公のボーモントの魅力に惹きつけられてあっという間に読み終えられた。彼は探偵ではなく賭博師。なので依頼ではなく自らの思惑でしか動かないし、正義にも左右されない。だからと言ってゲスな利己主義者ではなく、むしろ気持ちのいい自己流主義だ。行動にブレはなく、予想外の窮地でもとっさの判断力に鋭さを見せる。さすが賭博師。そんな彼が最後に彼女に取った行動は意外に思えたが、いや彼は賭けたのだろう。それも堂々と。やってくれるな。

2021/07/01

Hideto-S@仮想書店 月舟書房

生涯に5篇だけ遺したハメットの長篇の一つ。賭博師ボーモントは、市政に大きな影響力を持つ実業家マドヴィッグの友人として一目置かれている。選挙目前、マドヴィッグが支援している上院議員の息子が殺され、彼の犯行を匂わせる怪文書が出回る。友人を救うためボーモントは事件の解明に動く……。正義や真実ではなく、友人の利害のために行動する主人公は、フィリップ・マーロウのようなヒーローではない。しかし、誤解され遠ざけられても友人に信義を尽くすボーモントからは、古い男の矜持を感じた。ヤクザ映画の高倉健さんのイメージと被った。

2016/03/23

sin

本邦の政治家は自分達がまるでサムライであるかの様に勘違いして偉ぶるが、彼の国の政治家の実の顔は正に顔役!いわばギャングであるようだ。主人公はその右腕と云う位置づけではあるがあくまで友人という立場を崩さず振る舞うシニカルな賭事師で、その事件の本質に迫る姿には作り事めいた白々しさがなく物語はリアルを醸し出している。◆英ガーディアン紙が選ぶ「死ぬまでに読むべき」必読小説1000冊を読破しよう!http://bookmeter.com/c/334878

2017/11/20

ケイ

チャンドラーらに影響を与えたというハードボイルドの祖?のハメット。彼の書く主人公のボーモントは、インチキな賭博師で政界のフィクサーに仕えるような男なのに、共感と哀愁を感じるのは、彼があくまでも仕えるマドヴィッグの側に立ち、女性に対しては優しい視線をもっているからだろう。その優しさは、彼女たちから自立を取り上げるようなものであっても、それゆえにハードボイルドは成立するのかもしれない。犯罪者を決めるのは、フィクサーの気分次第という時代ならではの作品だ。

2015/10/27

優希

面白かったです。登場人物たちの感情が一切排除されているので、背景を想像しなければなりませんが、物語そのものが映画になるような感じでした。上議員議員の息子殺しの容疑者にされたマドヴィッグ。友人を窮地から救おうと暗躍するボーモンドが格好良かったです。金、権力、人脈が物を言う時代、その熱い想いだけで信念を貫き、事件を解決する。まさにハードボイルドというのに相応しい物語でした。読後に何とも言えない寂寥感が襲うのは何故でしょうか。

2016/08/14

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