存在と時間 4 (光文社古典新訳文庫 Bハ 1-4)
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存在と時間 4 (光文社古典新訳文庫 Bハ 1-4) / 感想・レビュー
hitotoseno
本巻では世界内存在としての現存在がどういったあり方で世界のうちに投げ込まれているのか、といったことが詳しく語られる。現存在は世界に投げ込まれている時、どうしても世間という日常に巻き込まれなくてはいけないので、頽落せざるを得ない。「世間話」「好奇心」「曖昧さ」といった頽落した現存在が取りがちな態度もあわせて分析されるが、このあたりは刊行から百年経ってなお全く古びていない。
2021/04/18
tieckP(ティークP)
訳は丁寧だし、解説も本文に寄りそいながら必要な周辺知識を与えてくれる。僕より賢いひとらが岩波訳などで読むのには感服するけれど、僕と同じくらい賢くないひとがあまり本書を手に取ってないらしいのは悲しいことだ。個人的には、気分が認識に先立つという主張はありうると思うのだけれど、それでも哲学が知に偏重するのは知が哲学を支えるからで、はたして気分が認識を左右するなら、それによる変化はきちんと哲学に、そして本書に組み込めるのかなとか考える。内容が等価な哲学書を5度くらい書いたらその差から気分をあぶり出せるだろうか。
2018/08/04
tsukamg
これまでで一番わからなさがキツイ巻だった。でも、頽落について、世間話、好奇心、曖昧さの説明は、わかったような気がしないでもなかった。好奇心は良きもののように我々は思っているけど、なんか悪いものっぽく書かれてた。でも悪いわけじゃないみたい。どっちなの! と、切れそうになった。あと、わかりにくい理由に気がついた巻だった。文章が、Aの説明があったあと、予想されるBという結論を「ということではない」で否定し、同じくC、Dも否定していく構造なのだ。結局なんなの? というところで、いつも文全体がわからなくなるのだな。
2022/03/05
イシカミハサミ
いよいよ現存在/人間の存在様式に迫る4冊目。 もともと神学的な意味合いの強い哲学から、 “隣人”の存在証明にまで学問を掘り下げた苦労の跡が見えた。 感情を含めて、 ひとがひとらしくある状態を哲学的に展開。 頽落の概念を使えば、 心身のずれとか、性同一性とか、 そういうのの説明にもつながりそう。
2019/03/15
bigwada
内存在の基本構造としての情態性、理解、語りについての分析とその日常性としての世間話、好奇心、曖昧さ、についての考察が行われる。相変わらず一読では難しいので、本書の詳細な解説及び他の解説書を参考に再読したい。
2020/05/14
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