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今昔物語集 (光文社古典新訳文庫 Aン 2-1)

今昔物語集 (光文社古典新訳文庫 Aン 2-1)

今昔物語集 (光文社古典新訳文庫 Aン 2-1)

作家
作者未詳
大岡玲
出版社
光文社
発売日
2021-08-06
ISBN
9784334754488
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ジャンル

「今昔物語集 (光文社古典新訳文庫 Aン 2-1)」のおすすめレビュー

男女の四方山話、しょうもない失敗… 1000年経っても人は変わらず! 悲喜こもごもな『今昔物語集』は、今読んでも面白い

『今昔物語集』(作者未詳、大岡玲:訳/光文社)

 世界中の名作をラインナップする光文社古典新訳文庫に、日本を代表する古典『今昔物語集』(作者未詳、大岡玲:訳/光文社)が加わった。

「ありおりはべりいまそかり(ラ行変格活用動詞)」を始めとした難解な文法でつまずき、敬語は判別できない、主語が誰だかわからない、生活習慣も謎、百人一首で暗記はしたけれど和歌の意味はチンプンカンプン、でも日本語なので読むことだけはできる、けど理解不能……そんな各種“古文アレルギー”によって、日本の古典を読んでいない方はけっこう多いのではないかと思う。しかしそれは完全なる間違いである、ということをお伝えせねばならないでしょう!

 収められてたすべての物語が「今は昔(今となっては昔のことだけど、という意味)」から始まるのが『今昔物語集』のルールだ(※1)。しかしそれ以外はほぼノールール。ボクシングで言ったらほぼノーガードの壮絶な打ち合いくらい、人と人が全力でぶつかっている物語ばかりなのだ。

 しかも『今昔物語集』は謎だらけの書物なのである。

・著者、編者が誰だかわからない?(おそらく…

2021/9/6

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今昔物語集 (光文社古典新訳文庫 Aン 2-1) / 感想・レビュー

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中玉ケビン砂糖

本編もこなれた現代語で勿論面白かったが、編訳者解説の「5W1H」論が刺激的。日文学史上最大級の仏教説話集ではあるが、いかんせん作者は未詳。ただその核は散逸した『宇治大納言物語』にあり、さらに遡って『日本霊異記』や大陸渡来の文献からの断片要素も窺えるので、遺漏なくほぼほぼ網羅はしているもののその膨大さが却って全体像を漠とさせている、というのがアカデミズム的な歯痒さだった。成立時期については振れ幅こそあるものの、科学的測定や収録作の傾向からある程度の絞り込みはでき割愛する。面白いのは、ある程度の自明性・蓋然性

2021/11/03

ネコベス

平安末期に編纂された今昔物語から訳者が選りすぐった91話を収録した新訳説話集。貴族の痴話喧嘩や盗賊の跋扈、仏教説話に鬼や亡霊、亀に狐まで登場する小エピソードの連なりが小噺のようで気楽に読める。前世の報いや因果応報思想がその時代の根底に感じられる。日本昔話で見た「羅生門の鬼」「安珍清姫」「猿神退治」、芥川龍之介の「鼻」や「羅生門」の元ネタも確認出来て楽しめた。

2021/11/10

たんかれ~

平安時代末期に書かれたという仏教説話集。全部で千話くらいあるうち、本書では91話を抜粋。淡々と描かれているけど、どれも人間臭くて面白い。芥川龍之介など多くの作家が著作のヒントにしたそう。そういえば井上靖の作品で読んだ話もありました。編者は不明だけど、それほど高位ではない僧侶がライフワーク的に書いたのではとのこと。納得。読み易い現代語訳に感謝!

2021/12/11

こちょうのユメ

今昔物語を現代語訳で読めるのはうれしい。91の説話集は平安時代の貴族から一般大衆まで、面白くてヘンなエピソードを集めたもの。訳者によると「興味深い出来事がウワサとしてつたえられ、やがて物語として結晶したもの」だそうだ。中には、腫瘍の治療薬として胎児の肝を手にいれる平貞盛の残忍で戦慄する話。書類改ざんを命じた書記を口封じに殺す、今でも似たような話。また貴族、僧侶、民衆を問わず簡単にエッチをする話など、今と一緒じゃんと思える話が数多くある。こうしてみると人間の本性は、大昔からたいして変わっていないようだ。

2023/01/06

NORI

膨大な説話の中で、今回印象が残ったのは、人質を取られた武人の話。 悪者に妻子を人質に取られ、敵を殺るか、家族を救うかで葛藤するのは、ハリウッドのヒーロー映画でもありがち。守るべきモノは、弱点にもなる。 そんな中「妻子を案ずれば武人の身を誤る。質に取られた子は殺させてしまえ。それくらいの覚悟が必要」という考えが、印象的。 その賛否はともかく「家族が大事に決まってる」とあっさり言っちゃう現代映画が浅く感じる。現代的ではない回答を前に、逆に考えさせられてしまった。 そんな、現代にも通じるテーマが山盛り。

2024/02/21

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