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未成年3 (光文社古典新訳文庫 K-Aト 1-25)

未成年3 (光文社古典新訳文庫 K-Aト 1-25)

未成年3 (光文社古典新訳文庫 K-Aト 1-25)

作家
ドストエフスキー
亀山郁夫
出版社
光文社
発売日
2023-01-11
ISBN
9784334754747
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未成年3 (光文社古典新訳文庫 K-Aト 1-25) / 感想・レビュー

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ケイトKATE

ドストエフスキーとって、父親は人生に大きな影響を与えたのだろう。第3巻(第三部)では、ようやく登場するアルカージーの戸籍上の父親マカールが死の床から伝える言葉は、ドストエフスキーにとっての理想の父親を表現したかった。一方で、アルカージーに語るヴェルシーロフの言葉は、近代と出会ったロシア人の苦悩を語っているように思える。アルカージーはドストエフスキーの分身であるとすれば、『未成年』は早く亡くなった父親へに宛てた手紙と読み取れる。父親と息子の問題は、『カラマーゾフの兄弟』でさらに踏み込むことになるが。

2023/04/05

ひと

アルカージーの法律上の父が現れるがやがて老衰。実質的な父のヴェルシーロフはこれまでの生き方を反省するが自殺未遂。2組?の政略結婚のようなものも破談に。最終巻はますます混沌して内容は半分も理解できませんでした。しかし、「結び」で未来のためにはこの時代の無秩序とカオスを手記に残しておくべきだ、とわざわざ記載があり、この小説が書かれた理由だけは分かった気がしました。

2023/05/23

amanon

一般的には失敗作と評されがちな本作だが、こうやって読み返してみると、他の五大長編に匹敵するくらいの魅力に富んだ作品なんだな…と痛感。正直アンナとカテリーナの関係など、今一つ理解不足、読み込み不足感が否めないが、逆に「改めてまた読み返したい」という吸引力になっているのだから、恐るべし。前巻の感想でも述べたように、本作品は一読しただけでは、その面白さがなかなか理解できないとう性質が故に、読者は長い付き合いを必要とされるのかも。本作の最大の肝であるヴェルシーロフの「分身」のエピソードは特に読み込みが必要。

2023/04/11

しおり

登場人物を思い出すのに時間がかかった。ヴェルシーロフが貴族というものの価値を大いに認めているのが印象的。欧州全体がナショナリズムによる地殻変動に見舞われていた19世紀後半にあって、後進的なロシアこそヨーロッパ人だった。そのロシアで文化的資本を集中投下された一握りの貴族こそが希望なのだ、と。身分を残置した上での昇華は彼にとって理想でもそうは問屋が卸さないと思う。その彼のカテリーナへの想いは強烈。『二度と会えなくてもいい──ただ、誰とも結婚しないでください!』この本気の告白にはクラっと来た。

2023/07/25

Moish

イライラしながら読み切った、というのが正直なところ。語り手、アルカージーの思わせぶりで、甚だしく身勝手な語り……。「後で述べるが…」という先送りも多発。この流れの断ち切りは意図的なのか、そうでないのか。実は大したことない陰謀をここまで引っ張るのもどうか。バルザックならもっと面白く書けるだろうに。ドストエフスキーの失敗作と言われている所以か。本作の良さを消化できるまでになるには、まだ読解が足りないのかもしれない。ともあれ5大長編というものがあるらしい。そのうち未読の『悪霊』『白痴』に移るとしようか。

2023/01/29

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