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恋の蛍: 山崎富栄と太宰治 (光文社文庫 ま 18-1)

恋の蛍: 山崎富栄と太宰治 (光文社文庫 ま 18-1)

恋の蛍: 山崎富栄と太宰治 (光文社文庫 ま 18-1)

作家
松本侑子
出版社
光文社
発売日
2012-05-10
ISBN
9784334764067
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恋の蛍: 山崎富栄と太宰治 (光文社文庫 ま 18-1) / 感想・レビュー

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ミカママ

ずっと読みたかったこちら、想像以上に壮絶で胸の痛む、おそらく史実にとても忠実な作品に仕上がっている。物事にはいくつもの見地(perspective)があるものだ。太宰と彼の最後の恋人・富栄の不倫からの心中についても同じこと。一般には声高な見地のみが届く。今作は声を上げることが許されなかった富栄側(主に彼女の父親)の見地を知ることができる。太宰の弱さ、だらしなさ。こういう男って確実にいるし、そしてこれがまた女性にモテちゃうのだ。濡れねずみの娘の亡骸の前に立ちはだかり人目から守った父親、今思っても泣けてくる。

2022/09/07

鉄之助

太宰の”四角関係”に、まずビックリ! 妻と二人の愛人の間を同時に往来。まさに「酒と仕事と女性でメチャクチャ」だった。太宰と富栄が屋台のうどん屋で出会うシーンが強烈。その日は、愛人・静子から懐妊を告げられる10日後で、妻・美知子が出産する、なんと3日前。さらに後日、新旧の愛人が鉢合わせする。小説よりも現実がすさまじい。いや、ここからだからこそ『人間失格』が生まれたのか…。これまで、太宰を心中に引きずり込んだ”悪女”のイメージが多かった富栄の側から「玉川上水心中」を掘り下げた傑作。読みだしたら止まらなかった。

2023/05/05

ケイ

昨年に豊島氏の「太宰治との一日」を読んでハッと気付いた。太宰は無理心中ではなかったのだと。親友の安吾や檀一雄までが、彼女が悪いと書いていたのを読んで感じた違和感の理由だった。何度も自殺未遂をして、女だけを死なせていた太宰なのだから。喀血が続き、どちらにしても先は長くはなかったのだから。太宰は「髪結いのひも」ではないか。彼はさっちゃんといて安穏としていれただろう。彼女は自立した女性で、貯金を太宰に使い果たした。愛していたのだろうが、彼女は戦争未亡人。井伏鱒二の罪は重いがその十字架の重さもわかっているだろう。

2016/08/08

ゆいまある

太宰と最後に心中した山崎富栄側から書かれた話。作者のデビュー作嫌いだった。疲れる。太宰治という人に。世の中に居場所がなくて酒と薬物に逃げて、金は全部酒代に消え家族に何もしない。結核も治療せず、病からも逃げ続ける。逃げる先は女。甘えさせてくれる女を見つける嗅覚だけ発達している。妻と愛人が出産。金はない。結核は進行し末期。書くのにも疲れた。自分に惚れてる世間知らずな女を巻き込んで自殺したけど、富栄に会わなければもっと早く死んでた筈。世の中みんな太宰に優しすぎ。ただ天才だっただけ。死ぬ時まで迷惑な男。大好き。

2022/10/22

青蓮

読友さんの感想から。太宰治の心中相手である山崎富栄を描いた作品。正直、彼女のことはよく知らなかったのですが、彼女がどんなに聡明で愛情に満ちた人だったか知ることができました。本書にもありましたが、彼女は太宰の恋人であり、助手であり、看護師であり、母でもあった--太宰が求める全てを備えていた人だったんだなぁと感じました。そして苦しい程の太宰との愛が凄く切なくて、思わず涙が溢れました。不幸な結果だけれど、愛する人と最後を共に出来たのは幸せだったのかな。本書を読んで、また太宰作品を再読したくなりました。

2016/01/07

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