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絶叫 (光文社文庫 は 36-2)

絶叫 (光文社文庫 は 36-2)

絶叫 (光文社文庫 は 36-2)

作家
葉真中顕
出版社
光文社
発売日
2017-03-09
ISBN
9784334774509
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「絶叫 (光文社文庫 は 36-2)」のおすすめレビュー

平凡な女性が落ちてゆく、底なしの地獄。葉真中顕原作の『連続ドラマW 絶叫』の見どころを、徹底紹介

 一人の女性の壮絶な半生を描き、現代社会の闇を鋭くえぐった葉真中顕の社会派ミステリー『絶叫』(光文社文庫)。その待望のドラマ化作品『絶叫』が、WOWOWのドラマWにて3月24日より全4話で放送される(第1話無料放送)。その見どころを放送に先駆けて紹介してみよう。

 東京都国分寺の賃貸物件で、女性の孤独死体が発見される。猫に食い荒らされ、原形をとどめていなかったその死体は、警察の調べによって鈴木陽子(尾野真千子)という女性のものだと判明。捜査を担当する国分寺署の刑事・奥貫綾乃(小西真奈美)は、陽子の歩んだ人生を少しずつ知ることになった。

 刊行直後からミステリーファンの間で話題を呼んだ原作『絶叫』は、ヒロイン・鈴木陽子のキャラクター造型が秀逸だ。1970年代、地方都市のサラリーマン家庭に生まれた陽子は、トレンディドラマのような生活に憧れつつ、地元の学校に進学し、実家から通える中小企業に就職する。取り立てて目立つところのない、団塊ジュニア世代の平均値のような人生である。

 その平凡だが満ち足りた生活が、ほんの些細なきっかけで崩れてゆく。ブラック…

2019/3/23

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借金を抱えた父が失踪。生きるために「保険金殺人」を――尾野真千子が孤独な女性の壮絶な人生を演じる『絶叫』

『絶叫』(葉真中顕/光文社)

 葉真中顕の小説『絶叫』が、尾野真千子主演でドラマ化されることが決定。尾野が保険金目当ての殺人に手を染めるOLを演じるとあって、「尾野さんの演技力に期待」と注目を集めている。

 主人公となるのは、ごく一般的な家庭に生まれた鈴木陽子。陽子は秀才だった弟と比較されながら生きてきたが、寂しさを胸の奥に秘めながら淡々とした日々を過ごしている。陽子の人生を大きく変えたのは、借金を抱えた父親の失踪。社会的にも経済的にも追い詰められた陽子は、生きるために保険金殺人を計画することに。罪に罪を重ねながら自分の居場所を確立するためにもがく陽子の人生は、いつしか誰も予想できない結末へと向かい始める―。

 原作を読んだ読者からは、「自分が陽子になったような錯覚を覚える」「希望がない、と思いながらページをめくる手が止まらなかった」「この面白さは最後まで読まないとわからない」と驚きの声が続出。「もっと評価されるべき小説」「こんな素晴らしい作品を知らないなんてもったいない」と、ミステリー好きからも絶賛の声が相次いでいる。

 監督を務める水田成英は、「原…

2019/1/19

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テレオペ、保険外交員、デリヘル嬢…。生きるために辿り着いた先にあるものは――魂を震わせる社会派ミステリー『絶叫』

『絶叫』(葉真中 顕/光文社)

 今年3月に文庫化された『絶叫』(光文社)が、順調に版を重ねている。

 同作はミステリー界の新鋭・葉真中 顕が2014年に発表した長編。吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞にノミネートされ、「週刊文春」ミステリーベスト10では6位にランクインするなど、刊行直後から話題となった作品である。

 評者がこの作品を出会ったのは単行本の刊行直前のこと。雑誌『ダ・ヴィンチ』で著者にインタビューすることになって、同作のゲラ(=校正刷り)の束を編集者から手渡されたのだった。500ページを超えるボリュームに一瞬気圧されはしたものの、臨場感あふれる死体発見シーンに即座に心を掴まれ、怒濤のラストまでたちまち読み終えてしまったのを今でもよく覚えている。

 作品冒頭、都内の単身者用マンションで女性の死体が発見される。死体は一部が白骨化し、その周囲を10匹ほどの猫の死体が取り巻いている、という異様な状況だった。どうやら飼い主の女性が孤独死を遂げ、ペットがその肉を食い荒らしてしまったらしい。やがてマンションを借りていた女性の名前が判明。刑事の奥貫綾乃…

2017/8/25

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絶叫 (光文社文庫 は 36-2) / 感想・レビュー

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starbro

葉真中顕は、新作中心に読んでいる作家です。今回文庫化された未読の本作を図書館の新刊コーナーで見つけて読みました。負の連鎖女の幸せの呪いの物語、600P強一気読みしました。著者の代表作だけあり、全編に『絶叫』が感じられました!

2017/05/13

三代目 びあだいまおう

やはり恐るべし葉真中顕。ロストケアではまり、600頁の本作も一気怒涛。死後半年程、マンションで見つかった女性は見るも無惨な状態!別に見つかった遺体はNPO法人の代表者で、通報した謎の女性が現場から消えた!この、全く繋がらない2つの遺体を捜査していくとどこか不穏な匂いがって話。核の人物は陽子、ページを括る度不幸へと堕ちてゆく姿はリアルで悲惨。私は2つの視点で読む。つまり『誰』の絶叫なのか?そして陽子をあなたと呼ぶ人物は『誰』か?細かな全ての伏線が絡み出し、やがてくる結末の畏怖はあなたの度肝をブチ抜く‼️🙇

2019/03/27

yoshida

生きることは選択を積み重ねることだ。その時に最良と思う選択をし結果の責任をとる。私は主人公の陽子と同年代だ。生きていると過去の選択を悔やみ、追った責任と結果に途方に暮れることがある。しかし、陽子の人生はあまりに劇的だ。社会に出る迄が比較的平凡か。父の失踪と愛されなかった経験、そして選択をする際の無知や安易さで転落する。目を覆いたくなるほど。その苦界から脱する為に陽子のとる行動も、陽子の苦界から得たものだ。母の前で絶叫する陽子。それは生きる陽子の溢れだす絶叫。深い業による陽子の新たな生に気づき私は戦慄した。

2017/08/27

🅼🆈½ ユニス™

面白かった。読み終えるまで一度たりとも笑みが浮かばない小説だった。しかし、しっかりと貪り読ませる。平凡な一人の女性がちょっとした不運が重なる事で堕ちる過程はリアル過ぎて鳥肌レベル。想像させ、ノンフィクションの如く錯覚させる。‘あなたは…’ の二人称で始まり、‘あなたは…’の二人称で終わる、今年一番衝撃的なヒューマンミステリードラマになるのではないか…思われる圧巻の“イヤミス”の一冊だった❗️

2018/07/11

おしゃべりメガネ

【レビュアー大賞】およそ600頁のボリュームは決して伊達ではなく、重量感が圧巻の作品でした。バブル経済の末期を描きながら、一人の女性「鈴木陽子」の生き様を、これほどまで儚く悲しげに書きあげられた作風に驚愕です。保険のセールスレディから風俗へ、ふとしたことから人生をドロップアウトした数人の男達と出会い、後戻りできない人生をひたすら突き進んでいく主人公の姿には、どこか応援したくなるキモチに知らぬ間になっています。タイトルの【絶叫】という意味が果たしてどう捉えるかは読み手によって、それぞれ違うのでしょうね。

2017/08/20

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