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生ける屍の死(下) (光文社文庫 や 26-4)

生ける屍の死(下) (光文社文庫 や 26-4)

生ける屍の死(下) (光文社文庫 や 26-4)

作家
山口雅也
出版社
光文社
発売日
2018-06-12
ISBN
9784334776749
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生ける屍の死(下) (光文社文庫 や 26-4) / 感想・レビュー

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ナルピーチ

死者が甦るという特殊な状況下を見事にミステリーとして描いた重厚な物語。上巻で撒かれた数々の伏線が、下巻に入って回収されていく。生者の視点だけでは絶対に解くことの出来ない謎。その答えを導き出す為には死者の心理を摑まなければならないのだ!「生と死は表裏一体。生を想うことは死を想うこと、死を想うことは生を想うこと」この言葉がグサリと心に突き刺さる。そして迎えるクライマックス…走るピンクの霊柩車、聴こえるカーラジオ。伝わる想いは“メメント・モリ”。納得の前代未聞の傑作ミステリーでした!

2022/08/21

chiru

「燃え尽きたほうがいい、消え去っていくよりも…」ある孤独なロッカーの一言。読み終えて振り返ると、この言葉に主人公のすべてが込められた物語でした。そして今までで一番、主人公と一緒に考え、迷い、泣いた物語。上下巻は長いけど、作者自身が作中で「小説は300ページくらいで事件が解決するのがいい」と言っちゃうので笑う!その時点で360P!しかし読了後も心を揺さぶる没入感は、これまで読んだ本の中で間違いなくNo.1✨「生き返り」という飛び道具のピースがカチリとハマった、未来永劫愛される大傑作でした!★5↑↑↑

2021/09/26

セウテス

〔再読・下巻〕自分を殺した犯人を捜すグリンだが、次の殺人事件が起こる。警察が乗り込んでの捜査になるが、犯人と思われる者まで殺されてしまう。そして、遺体は蘇えるのである。グリン同様蘇った死体本人は、いたって知識は正常であるため自らの犯行を否定。死者を交えての推理合戦など、笑える所も多い。しかし犯人にたどり着く伏線は、いたる所に数多く配置されている。この特種な環境だからこそと考えると、案外思いつくかも知れない。ラストにはグリンの心温まるシーンが用意されているが、本作は年齢を重ねる毎に読むと思いが変わると思う。

2019/10/03

森オサム

下巻読了。序盤の正直退屈な蘊蓄も全て伏線として機能しており、見事な本格推理を堪能した。死者が甦ると言う特殊な世界で起こる事件なので、動機の必然性とトリック成立の正当性が問われる所。提示されたヒントで真相にたどり着くのは難しいが、謎解きの内容は十分納得出来た。スラップスティックな場面も多く、作者の魅力がぎゅうぎゅうに詰まった作品だったと思います。以前読んだ時は海外のロックには興味が無かったが、すっかり洋楽ファンになった今では、その辺りもニヤニヤが止まりませんね。ただ、20年分死に近づいた事は考えたく無いな。

2019/06/08

カノコ

何度目かの再読。やはり解決編の面白さに痺れる。死者が甦る世界でなぜ殺人が起きるのかという説得力、生者と死者それぞれの思惑、全てが世界観とマッチしている。惜しむらくは、解決編に入るまで事件の全貌が掴みにくいことか。作品を貫く衒学趣味は作品のモチーフと合ってはいるのだが、如何せん読みにくさは否めない。しかしなんと言っても特筆すべきはこのエピローグなのだ。わたしは時間が経つとミステリのトリックも犯人も綺麗に忘れてしまう質なのだが、この作品のミステリらしからぬ美しいエピローグだけは、いつまでも覚えているだろう。

2021/08/16

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