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ポイズンドーター・ホーリーマザー (光文社文庫)

ポイズンドーター・ホーリーマザー (光文社文庫)

ポイズンドーター・ホーリーマザー (光文社文庫)

作家
湊かなえ
出版社
光文社
発売日
2018-08-08
ISBN
9784334776961
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「ポイズンドーター・ホーリーマザー (光文社文庫)」のおすすめレビュー

真実を反転させ、善意と悪意をえぐりだす――湊かなえの真髄、あの短編集がWOWOWドラマ化!

『ポイズンドーター・ホーリーマザー』(湊かなえ/光文社)

 湊かなえ氏は“反転”を描く作家だ。人は誰しも自分だけの物語を生きている。よかれと思っての言動が、誰かを苦しめるだけの結果となるのはよくあることだ。だが、一部の人間関係だけでなく、自分の信じてきた物語が、信じて何十年と生きてきた正義が、真逆のものだったらどうするのか――『ポイズンドーター・ホーリーマザー』(湊かなえ/光文社)は、誤解を重ねた先で取り返しのつかない結末を迎えてしまった人々を描くと同時に、それは読者である私たちの姿かもしれないとつきつけてくる短編集だ。

 表題作の「ポイズンドーター」は、娘を支配しようとする母親の呪縛を逃れ、女優となった娘・弓香が“毒親”を告発する物語。そして「ホーリーマザー」は、弓香の一方的な言い分が世間にさらされたのち、事故死した母親をかばう人々によって、弓香が“毒娘”として糾弾される物語だ。弓香の境遇に共感させてからのこの反転は、見事としか言いようがない。物語は、誰に寄り添うかで見え方が変わる。どちらが本当に毒だったかなんて、誰にも判別しようがない。問題は、…

2018/9/18

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「実写だと泥沼感が増しそうでワクワク」湊かなえ極上のイヤミス短編集実写化に期待の声

『ポイズンドーター・ホーリーマザー』(湊かなえ/光文社)

 デビュー10周年を迎える湊かなえの短編集『ポイズンドーター・ホーリーマザー』が、WOWOWで連続ドラマ化決定。ファンからは「絶対に見逃せないな!」「映像化が不可能だと思ってたから楽しみ」と歓喜の声が上がっている。

 同作はさまざまな女性たちの抱く激しい情念や苦悩、そして冒してしまう過ちを描いたミステリー短編集。主人公の女優・藤吉弓香は、自分を思い通りにコントロールしようとする母親に小さいころから悩まされている。母親・佳香は弓香にとってまさに“毒親”。佳香に反発して上京した弓香だったが、束縛から逃れられたわけではなかった。

 佳香が裏で動いたことで恋人と別れ、大切な仕事も失っていたと知る弓香。意を決してテレビ番組で佳香を告発すると、それが大きな反響を呼ぶことに。しかし佳香を知る周囲の人間たちから見れば、決して“毒親”などではなく子ども想いの良き母親。弓香の発言を聞いた佳香は、自分の人生を振り返ることになり“子離れ”を決意するが…。

 他にも“優しすぎて”殺人を犯してしまう「優しい人」や、何でも…

2018/8/18

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ポイズンドーター・ホーリーマザー (光文社文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

短編集。読みやすかったです。毒親、毒娘がテーマで湊さんらしさ満載でした。文章が会話口調(取り調べの受け答えや、メール口調)で進むのに情景もよくわかります。今後、物事は何にしろ多角的に見て、片方の側の言い分だけしか聞かないことはやめようと思いました。語り手が変わるとガラリと状況が変わり、出来事の中心人物から第三者に変わってもまた違う見方が出来、構成も巧いと思いました。

2018/10/11

nayu

毒々しい短編集。      「ベストフレンド」が好き。       最後のはちょっと納得がいかない。      人に対する印象なんて人によって違うし、人に与える印象だって人によって違う。人によって態度を変えるなんて普通のことだし、そのことに考えが及ばないのは浅慮だ。そして誰もがエスパーではないし読心術を得ているわけではない。人の気持ちは言葉にしないと伝わらないのだ。       それに、子育てに正解は無い。

2018/09/12

JKD

きたきた、湊流イヤミス。「蚤取りしてました~」で、ゾワッ。女性のどす黒い部分が濃縮されている感じが何とも恐ろしい。全編が毒親というキーワードで統一された強烈な短編集でした。「ポイズンドーター・ホーリーマザー」の連作は「毒親」だけでなく「毒娘」も出てきて斬新。こちらは痛々しい場面が多いけれど、どちらかと言えば美しい部類になるのかな?

2018/09/03

きいたん

母となって初めて知る。我が子のこの上ない愛おしさ。母は愛情を惜しみなく注ぐ。子供の為に。将来の為に。良かれと思って。そしていつしか忘れてしまう。子供は自分とは違う別の人格を持った人間である事を。親が一番遠慮なく自分をぶつける相手は子供だ。湊かなえが描く母娘もまた然り。母は「子供のため」という免罪符を掲げ自分をぶつける。娘は母と自分の差異に苦しみ徐々に歪んでいく。しかしこの物語の底辺に確実に描かれているものは親子の愛だ。それが湊かなえの毒と共に読者の胸をえぐる。娘であり母である私。毒娘・毒母の姿を胸に刻む。

2018/09/11

bunmei

歪んだ生い立ちや劣悪な生活環境の中で、毒気を帯びて罪を犯していく人達の心の葛藤から、最後にグサリと来る展開は見事。ある一方から人を見下すことでその人の印象が決まり、そうした周りの思い込みによって、本人の苛立ちや怒りが積み重なって事件に繋がっていく…。親子の歪んだ愛情や親の押しつけによって、自虐的な人を作っていく話。人間関係が巧く構築できず、自分に都合の良い思い込みによる誤解によって、感情の制御ができずに殺人に至る話など…。現代人の持つそうした心の闇にスポットを当てた、湊かなえらしさを感じる作品です。

2018/10/12

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