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鯨分限 (光文社文庫 い 49-4 光文社時代小説文庫)

鯨分限 (光文社文庫 い 49-4 光文社時代小説文庫)

鯨分限 (光文社文庫 い 49-4 光文社時代小説文庫)

作家
伊東潤
出版社
光文社
発売日
2018-08-08
ISBN
9784334777128
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鯨分限 (光文社文庫 い 49-4 光文社時代小説文庫) / 感想・レビュー

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あも

職場の親睦旅行で捕鯨の聖地である太地町に行くことになったので、太地のクジラ漁の歴史を描いた『巨鯨の海』の続編である本書を旅のお供に。気分を高めようとワクワクして頁を開けば、舞台はいきなり江戸からの北海道…。嘘でしょ!?和歌山の話してくれよおお!時代が明治になり、米国の捕鯨船が乱獲しまくるせいで紀州に現れる鯨が減り、それでも鯨組を何とかしようと奔走する最後の頭領・太地覚悟の姿には、個人の力では抗いがたい時代の流れに押し流されそうになり、哀しみも苦しみも飲み込んで、なんとか踏み止まろうとする男らしさを感じた。

2019/11/17

のぶ

鯨をテーマにしたとても面白い作品だった。時代は幕末から明治初期。鯨の町、太地を中心としているが、全体を通しては地元の棟梁、太地覚吾の冒険の物語として読む事ができる。本書にはいろいろな要素が詰まっている。捕鯨の勇壮さや太地を襲った大津波、鯨の取引をめぐる経営の問題。そんないろんな事柄を解決するために覚吾は全国を奔走する。その活躍ぶりには心を打った。開国から明治維新で世の中が激変する中、捕鯨も大きく変わっていく。時代に抗い、度重なる苦境に、何度も立ち向かい続けた男の挽歌のような印象を受けた。

2018/09/30

えみ

海で命を奮う男たちの荒ぶる魂を守護するために、逃げるわけにはいかない!どんなに困難な状況に追い込まれようとも、責任ある者として勝負を賭けなければならない時がある。激流の如く瞬く間に変貌していく時代と闘い、幾度となく見舞われる逆境に抗い続けた紀伊半島の漁村・太地鯨組最後の棟梁、太地覚吾。彼の波瀾万丈の人生をここに目撃する。大阪、江戸、蝦夷地、そして太地。数奇の運命にもてあそばれながらも決して逃げ出さなかった彼のその覚悟、天晴としか言いようがない!黙して語らず。責任を一身に背負い海から去る。格好良すぎるよ!

2020/10/16

リュウジ

★2面白くなかったわけじゃない。氏の連作短編「巨鯨の海」とこの長編の読む順番が逆だったら・・・ということ。氏が描きたかったのはラスト2行。太地に生きた男の生きざま。でも読む前から短編にあった「大背美流れ」を知っていたから、男の運命はあらかじめ既知。それがこの小説の面白さを半減させた。また竜馬にあったり当てなく救いに行った女性の三味線を手に入りたりと出来すぎエピソード&脚色が過分すぎる。それでも面白いのは、日本の捕鯨、太地の捕鯨の歴史も追えるから。この作品も読んでから太地のくじら博物館に行ったらよかった。

2020/12/26

yamakujira

太地鯨組の最後の棟梁として、外国船の乱獲による不漁、南海地震による大津波、蝦夷地進出計画も政情不安で失敗と、時代がもたらす不運に不屈の闘志で立ち向かう太地覚吾の奮闘もむなしく、有名な大背美流れで鯨組はとどめを刺される。こうも不運が続くと呪われてるようにも感じてしまうけれど、男の生きざまに胸を打たれる。でも、攫われた女性を取り戻すために悪漢と対決したり、アイヌに同情してロシア船を襲ったり、高杉晋作や坂本龍馬の知己を得たり、覚吾の挿話が安っぽくてがっかり、鯨組の歴史背景は興味深く読めたのに。 (★★★☆☆)

2019/09/13

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