リリース (光文社文庫)
リリース (光文社文庫) / 感想・レビュー
はっせー
難しかった! 古谷田さんの本はこれで2冊目である。だが、前の本とは全くコンセプトが違う。ここは同性愛者がマジョリティであり、異性愛者はマイノリティになった世界での話である。ここではいまの世界で当たり前のことが当たり前ではなくなっている。またその逆もしかりである。ここの主人公に感情移入しにくい場面も多々ある。だが、マイノリティとかなにか。またマジョリティとはなにかを考えさせられるものであった。
2019/08/06
Haru
性差別のない世界は、逆に性の特性を際立たせ、男らしさ女らしさを否定する世界となり、「平等」の概念は捉え方を誤れば「差別」となる。みんなが等しく生きられる、等しく生きやすい、等しく幸せに生きていける思想も政策も幻だ。マイノリティがマジョリティになれば、マジョリティがマイノリティになるだけ。「自分らしく」生きることが、楽な人もいれば、「自分らしさ」に苦しみながら生きる人もいる。それはどんな世の中になっても変わらないのだろうな。テーマは面白いけれど、芯が感じられず散漫な印象で残念。
2020/05/05
ピョロ太郎
めちゃ面白くて一気読み。「オーセル」という架空の国(登場人物の名前は日本人ぽい)が舞台。そこは同性愛者や無性愛者がマジョリティになり異性愛者はセクシスト扱いされるようになった世界。マイノリティになってしまった異性愛者の生きづらさ、とか今の世界からは到底考えられないものをよくここまで書いたなぁと思う。ややこしい話だけど、女らしさや男らしさを押し付けることはよくない、でもだからと言ってそういうものが好きという人を非難するのは違う、みたいなことだろうか。ところで私はこの国にちょっと住んでみたいです。
2018/11/01
あかまい
自分の頭の中に新しい引き出しができた気分。色々考える事もあり、話を急いで読みたいと思ったり、立ち止まってぐるぐる考えたり。噛み応え充分のお話でした。最後、3人の思考が溶け出して一つになるような感覚も好きでした。
2019/02/25
🍣
読むのにたぶん二ヶ月ぐらいかかったけど、内容はそれ相当にものすごく濃くて読んで良かったと思える。物語に自分を染めるのが難しいかなと不安だったのも束の間。例えると、村田沙耶香作品のように当たり前に世界が変わる。ボナとエンダの演説にすぐ引き込まれて、純粋に好きという言葉が出た。書かれていることは全て物語であるのに、なぜかひたすらこれが本当の私達が生きている世界なんだと確信してしまうような気だるいけど先の明るい感じがずっと続いていて、なにか私は最新の映像を眺めているんじゃないかって、頭のなかが空虚だった。続く→
2018/12/28
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