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正しい愛と理想の息子 (光文社文庫)

正しい愛と理想の息子 (光文社文庫)

正しい愛と理想の息子 (光文社文庫)

作家
寺地はるな
出版社
光文社
発売日
2021-11-16
ISBN
9784334792688
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正しい愛と理想の息子 (光文社文庫) / 感想・レビュー

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nyaoko

ハズレなし寺地はるな作品。私のオススメBEST3に入るかも。裏社会、暴力に血、理不尽な仕打ち、そして詐欺。寺地さんらしくない描写に驚いた。ハセと沖は借金返済の為に老人を相手に詐欺を企むが、そもそも悪人の資質のない2人はツメが甘い。ハラハラ、イライラ、もどかしい気持ちで目が離せない。だらしない父親に育てられて性格が歪んだハセと、教育者の家庭に生まれ厳しく逃げ場のなかった臆病者の沖。親が子に与える正しい愛とは?それに応える理想の息子の姿とは?原田ひ香さんの解説がとても良いので文庫をオススメします!

水色系

詐欺行為で生き延びることを思いつくハセと沖だったが、詐欺師になるには血も涙もあるというか、愛を思い出したというか。「正しい愛」ってないんだな。関係性に正解なんてなくて、傍から見たら歪んでいるように見えても想いあっていることもあるのだ。他人が見て正しいとか正しくないとか、そういう尺度で決められるものではない。 ただ、好きな人には愛を持って接していきたいし、良好な関係を築きたいと思う。愛って、つくづく難しいなあ。

2022/08/17

エドワード

長谷眞は後輩の沖遼太郎と偽宝石を売っている。ハードボイルドに始まる物語。偽宝石の若い女性への販売に失敗が続き、老人相手の詐欺を思いつく。元教師の両親を恨んでいる沖は、自分の母親を騙して金を奪おうとするが、母親に毅然と断られる。ところが彼女が認知症になり、話の方向がガラリと変わる。沖は詐欺どころでは無く、母親の介護に奔走する。騙そうとした老人たちに逆に憐れまれてしまう長谷の複雑な心模様。今の日本の姿をじんわりと描く寺地さんの世界へと自然に導かれる上手さ。解説が原田ひ香さんという人選も絶妙。皆さま良いお年を。

2022/12/29

Walhalla

前半は、著者の作品のイメージとかなり違っていて、ちょっと戸惑うところもありましたが、後半からは、じわっときますね。トクコさんの存在がとても大きかったと思います。ただ、根っからの悪人にはなりきれなかった二人ですが、最初の印象は最後まで拭えなかった感じがします。やはり、人の弱みにつけこんで詐欺をはたらくような人は、応援しにくいです・・。

2023/08/23

空のかなた

装丁のイラストや「正しい愛」「理想の息子」というタイトルがこの物語の真髄を突く。痛くて、かつ素晴らしい物語。「愛とやらはそもそもいびつで、醜悪なものかもしれない。子どもを愛していない親なんていないとか、親に愛されたくない子どもなんていないとか、そんなのはたわごとだと思っていた。そうだ、すべての愛は正しくない、正しい愛などというものは存在しない。無数の美しない愛を抱えた人間が、ひしめきあうようにして生きている。」詐欺師だったはずの主人公ハセの心の揺らぎや哀しみを丁寧にひも解いていきながら、ラストスパートへ。

2023/09/07

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